デンソーと東芝、車載用人工知能技術を共同開発:自動運転の実現に向け開発加速
デンソーと東芝は、画像認識システム向け人工知能技術(DNN-IP:Deep Neural Network-Intellectual Property)に関し、共同開発を行うことで基本合意した。高度運転支援及び自動運転の早期実現に向けて開発を加速する。
DNNによる画像認識、自ら対象物の特徴を抽出し学習
デンソーと東芝は2016年10月、画像認識システム向け人工知能技術(DNN-IP:Deep Neural Network-Intellectual Property)に関し、共同開発を行うことで基本合意したと発表した。両社がそれぞれ開発してきた技術を持ち寄ることで、高度運転支援及び自動運転の早期実現に向けて開発を加速する。
DNNは、人間の脳の神経回路をモデルとしたアルゴリズムで、人間と同等あるいはそれ以上の精度で認識処理を実行できるとみられている。特に、自動運転を実現するためには、多様な対象物や障害物、道路標識/表示などの認識や危険予知など、さまざまな状況に対応できる高度な認識技術が必要となる。
DNNを用いた画像認識は、自ら対象物の特徴を抽出し学習する。このため、従来のパターン認識や機械学習による画像認識に比べて、対象物の特徴などを事前に学習させる必要がなく、多様な対象物の認識と、高い検知精度を実現できるという。
デンソーはこれまで、車載向けDNN-IPを独自に開発してきた。東芝と共同開発に乗り出すことで、実用化を加速させつつ、画像センサーとの組み合わせなどにより、高性能な高度運転支援、自動運転システムを実現していく。
東芝、DNN-IPを車載用画像認識プロセッサに実装
東芝は、共同開発したDNN-IPを専用ハードウェア化し、車載用画像認識プロセッサ「Viscontiシリーズ」などに実装していく。これによって、認識処理の性能向上及びDSPやGPUを搭載した他のシステムに比べて、消費電力が小さい画像認識システムの実現を目指す計画である。
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