Microsemi、FPGA向けのRISC-V IPコアを提供へ:ソフトウェアツールも用意
Microsemi(マイクロセミ)が、同社のFPGA「IGLOO2」「RTG4」やSoC FPGA「SmartFusion」などに向けた、RISC-VのソフトウェアIPコアを発表した。
FPGA向けは「業界初」
Microsemi(マイクロセミ)が、FPGA向けにオープンアーキテクチャ「RISC-V(リスクファイブ)」ソフトウェアIP(Intellectual Property)プロセッサコアを開発した。組み込み設計向けに、包括的なソフトウェアツールも併せて提供するという。
RISC-Vは本質的に、プロセッサコアではなく、オープンな命令セットアーキテクチャ(ISA)である。
RISC-Vは、大規模なクラウドコンピュータやハイエンドスマートフォン、超小型組み込みシステムなど、幅広い種類の既存のコンピュータ制御デバイスで利用できるように、ゼロから開発されているという。
RISC-Vは、多くのISAとは異なり、あらゆる用途向けに自由に利用することが可能なため、誰でもRISC-Vチップ/ソフトウェアの設計や製造、販売を手掛けることができる。MicrosemiのRISC-V IPコアに向けたオープンソースRTL(レジスタ転送レベル)ソースコードは、検証向けとして利用できるため、安全/セキュリティ向けの用途において強みとなる。これは、難読化された状態で提供されることが多い独自開発コアに対する、大きな差別化要因となるだろう。
MicrosemiのRISC-V IPコアは、SiFiveとの協業により開発された。独自開発のソフトウェアプロセッサコアとは異なり、RISC-Vコアを搭載したあらゆるチップに完全に移植できる。
「RV32IM RISC-Vコア」は、MicrosemiのFPGA「IGLOO2」や、SoC FPGA「SmartFusion2」、FPGA「RTG4」の他、LinuxプラットフォームをホストとするEclipseベースの統合開発環境(IDE)「SoftConsole」や、完全な設計サポートを提供するデザインスイート「Libero SoC」などで利用することができる。
例えば、100MHzのSmartFusion2に実装する場合、MicrosemiのRV32IM RISC-Vコアは、eNVM(組み込み不揮発メモリ)またはSPIフラッシュから起動することが可能で、5ステージのパイプラインを搭載し、ロジックエレメント数は1万2000個程度だ。さらに、1.1DMIPS(Dhrystone MIPS)/MHzの性能を実現する。
MicrosemiのRV32IM RISC-Vコアのターゲット市場としては、通信や産業、防衛、自動車などが挙げられる。最近では、ビデオ、画像システムや、決定性の多軸モータコントローラー、EtherCATのスレーブコントローラーなどに採用されている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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