SiCの生産効率を4倍にする装置、ディスコが展示:SEMICON Japan 2016レポート
ディスコは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、レーザー加工によるインゴットスライス手法を実現する製造装置を初めて展示した。
6インチまで対応
ディスコは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、レーザー加工によるインゴットスライス手法「KABRA」プロセス実現する製造装置「DAL7420」を初めて展示した。KABRAプロセスは、SiC(炭化ケイ素)ウエハー生産の高速化と取り枚数増を実現し、生産性を4倍向上させることができるという。
SiCインゴットからウエハーを切り出す方法は、ダイヤモンドワイヤソーが主流である。しかし、同社によると加工に1週間を要するだけでなく、ラップ研削や切断部分の素材ロスが生じるといった課題がある。
KABRAプロセスは、SiCインゴットの上面からレーザーを連続的に垂直照射し、光吸収する分離層(KABRA層)を水平に形成する。KABRA層を起点に剥離、ウエハー化するスライス加工方法である。これにより、従来の加工時間で30枚しか生産できなかったSiCウエハーが、KABRAプロセスでは114枚加工できる。つまり、従来と比較して生産効率は約4倍だ(関連記事:“他にないスライス技術”がSiCの生産効率を4倍へ)。
対応するインゴットの厚さは40mmで、ウエハーサイズは6インチまで対応。ブースでは、厚さ1cmの4インチSiCインゴットから切り出したウエハー22枚を展示した。
担当者は「小フットプリントを重視して、装置の開発を行った。今回は参考展示のため、できるだけ早い販売を目指して装置の作り込みを進めていく」と語る。なお、レーザーは専用のものを使用しており、波長や種類などは非公開としている。
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