Intelが5Gモデムを発表、モバイルでの返り咲き狙う:CES 2017
Intelは「CES 2017」で5G(第5世代移動通信)モデムを発表した。2017年後半にもサンプル出荷を開始する予定だという。
5Gモデムを発表
Intelは「CES 2017」(2017年1月5〜8日、米国ラスベガス)において、モバイル市場における勢いを取り戻すべく、5G(第5世代移動通信)モデムの開発を進めていることを明らかにした。2017年後半にはサンプル出荷を開始する予定だという。まずは、2018年に投入されるハイエンドスマートフォンをターゲットにする。Intelは、同社の14nmプロセスを適用したこのモデムで、デザインウィンの獲得を狙う考えだ。
Intelは、5Gをサポートするチップをいち早く実現すべく、積極的に取り組んでいくという。ミーティングに参加しているエンジニアたちによると、5Gのフェーズ1が正式に承認されるのは、早くても2018年5月以降になる見込みだという。
5G対応チップの実現を急ぐのは、Intelだけではない。同社にとって最大のライバルであるQualcommも、2016年末に、5G対応モデムチップ「Snapdragon X50」を発表し、2017年にサンプル出荷を開始する予定だとしている。100MHzのチャンネルを8個備え、2×2 MIMOアンテナアレイを使い、アダプティブビームフォーミング技術と64 QAMを採用することにより、90dBのリンクバジェットを実現している。
米国の市場調査会社であるStrategy Analyticsでワイヤレスチップリサーチ担当ディレクターを務めるChris Taylor氏は、「キャリア(通信事業者)各社は、他に先駆けて5G対応を発表しようと、かなり焦りを感じている」と指摘する。
同氏は、「5G規格の実現に先立って最初に発表されるのは、ミリ波を用いた固定無線アクセス(FWA:Fixed Wireless Access)ではないかとみている。4Gの時も、同じようなシナリオだったからだ。初期の試作では28GHzが広く使われているが、規制当局はまだ今のところ、5G向けミリ波帯を調整できていないようだ」と述べている。
Apple「iPhone 7」のデザインウィンを獲得
Intelは2011年、Infineon Technologiesの無線通信事業を買収したことで、資金力に任せてスマートフォン向けモデム事業に参入する格好となった。Infineonは当時、Appleの「iPhone」のデザインウィンを獲得し損なっている。
Strategy Analyticsが最近発表したレポートによると、Intelはその後、長い間モデム市場に姿を見せなかったが、2016年に「iPhone 7」のデザインウィンを獲得したことによって、ベースバンドチップ売上高ランキングで世界トップ5に返り咲いたという。
Strategy Analyticsによると、世界のLTEモデムチップ市場では現在、Qualcommが全体の約50%のシェアを獲得、Samsung ElectronicsとMediaTekが約35%、Intelが4%で後に続くという。
Intelは2016年に、実地試験向けとしてFPGAベースの5Gモデムを発表し、同年8月にはその設計を改良している。
5Gモデム(開発コードネームはGold Ridge)は、Intelが既にサンプル出荷を開始している28GHzまたは6GHz未満のトランシーバーをサポートする予定だという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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