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NVIDIAがエネルギー効率の高い相互接続技術を解説(前編)福田昭のデバイス通信(99) 高性能コンピューティングの相互接続技術(4)(2/2 ページ)

バスやリンクなどの相互接続(インターコネクト)は大きなエネルギーを消費する。では、どのようにして消費電力を下げ、エネルギー効率を高めればよいのか。前編では、信号振幅を小さくする方法と、電荷を再利用する方法の2つについて解説する。

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電荷を再利用してバスの消費エネルギーを節約

 相互接続の消費エネルギーを一段と低減する技術に、電荷再利用型バス(Charge Recycling Bus)がある。通常のバスはバッファ(CMOSインバータ)と伝送路で構成されている。バッファのバイアスは電源電圧と接地電圧である。ここで電源電圧と接地電圧の間に複数のバスを並列に挿入することを考える。例えば2つのバスを並列に置く。

 こうすると、上位層のバッファ(CMOSインバータ)と伝送路、下位層のバッファと伝送路、という2つのバスがレイアウトされる。上位層のバッファは電源電圧と中間電圧によってバイアスされる。下位層のバッファは中間電圧と接地電圧によってバイアスされる。

 ここで上位層の伝送路の論理値が「高」から「低」に変化したと仮定しよう。CMOSインバータのnMOSトランジスタがオンとなって伝送路の電荷を放電する。同時に下位層の伝送路の論理値が「低」から「高」になったと仮定しよう。下位層のCMOSインバータのpMOSがオンになると、上位層の電荷を利用して伝送路を充電できる。つまり、電荷を再利用可能になる。

 中間電圧を電源電圧の半分に設定すると、振幅は元の半分になる。そして消費電力は、原理的には4分の1と大幅に低下する。


電荷再利用型バス(Charge Recycling Bus)の概念図。2つのバスを並列に置くことで、バスの消費電力を理想的には4分の1に下げられる。出典:NVIDIA(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー

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