東芝が2016年度1〜3Qの業績見通しを発表、5447億円の赤字となる見込み:原子力事業ののれん減損で大幅赤字
東芝は2017年2月14日、2016年度第3四半期および2016年度業績の見通しを発表した。
原子力事業ののれん減損で大幅赤字
2016年度第3四半期累計期間(第1〜3四半期)における売上高は3兆8735億円、営業利益見通しは5447億円の赤字となる見通し。2016年12月末時点の株主資本はマイナス1912億円となり、債務超過となった。米ウェスチングハウスのCB&Iストーン&ウェブスターの買収に伴うのれん減損は、のれん減損が7125億円に上る見込みとなっている。
2016年度通期の見通しは、売上高が5兆5200億円で、営業利益は4100億円の赤字になるとみている。東芝は2016年11月、営業利益見通しを1800億円の黒字としていた。
2015年度実績は、売上高が5兆6687億円、営業損益が7087億円の赤字で、売上高は減少するものの、赤字幅は縮小する見込みだ。
原子力事業については、新体制を発表した。現行は、エネルギーシステムソリューション社に置いているが、新体制では社長直轄組織として、リスク管理とモニタリング強化を図るとしている。
メモリ事業については、特に新しい発表はなく、2017年1月に発表された通り、外部資本導入を検討しつつ分社化を進める。
併せて東芝は、現会長の志賀重範氏が2017年2月15日付で辞任することを明らかにした。東芝は、同社のグループ会社であるウェスチングハウスによる、Chicago Bridge & Ironの子会社CB&I ストーン&ウェブスターの買収に関連して、想定される損失計上に伴う経営責任として辞任するものとしている。なお志賀氏は、2017年6月に行われる株主総会までを任期とする執行役としてウェスチングハウス関係の諸問題の解決に専念する。
東芝は2017年2月14日の午後6時半から、東京都の本社で会見を行う予定だ。
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