東芝、メモリ新会社の過半株式を売却へ:会見速報
東芝は、2017年3月期第3四半期業績に関する説明会見を開き、既に分社化することを公表しているメモリ事業新会社の過半の株式売却を検討していることを明らかにした。
「すべての可能性を検討する」
東芝は2017年2月14日、2017年3月期第3四半期業績に関する説明会見を開き、既に分社化することを公表しているメモリ事業新会社の過半の株式売却を検討していることを明らかにした。
東芝は、2017年3月期第3四半期に原子力事業におけるのれん代減損(営業損益ベースで7125億円)を計上し、4999億円の純損失となる見込み。それにより2016年12月末の株主資本はマイナス1912億円と債務超過に陥った。
また2017年3月期通期業績でも、資本対策を行わない場合、株主資本はマイナス1500億円となると予測。早急な資本増強が迫られる中で、2017年1月にメモリ事業を分社化し、分社後の新会社株式の20%分を外部に売却し資金を得る方針を明かしていた。
ただ2017年2月13日になって原子力事業で、2017年3月期第3四半期業績をさらに悪化させる可能性のある事象が浮上。一層の資本増強を行わなければならなくなっている。
そこで、2017年3月末の分社化、設立を見込むメモリ事業新会社の株式売却割合を20%未満としていたが、「今後のさらなる成長に必要な経営資源を確保し、財務体質を強化するため、マジョリティー確保にこだわらず、柔軟に外部資本導入を行う」(綱川智社長)とし、50%以上の株式売却を検討していることを明らかにした。
売却先については、「いろいろなオファーをいただいている。1番良い選択肢を選ぶため、マジョリティーにこだわらない」とした。全株式の売却の可能性について問われた綱川氏は「すべての可能性を検討する」と否定しなかった。メモリ以外の半導体事業、HDD事業については、「東芝内でしっかり育てていきたい」と売却を否定した。
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