高精度に地震を検知できるセンサー、ロームが開発:建物被害を数値化したSI値を活用
ロームは2017年3月16日、地震検知が可能な感震センサーモジュールを発表した。地震による建物被害を数値化した「SI値」を用い、独自のアルゴリズムを開発。加速度の振幅で判定する「Gal値」を用いた従来のセンサーに比べ、高精度な地震検知を実現するという。
地震と人為振動を区別する機能も搭載
ロームは2017年3月16日、高精度な地震検知が可能な感震センサーモジュール「BW9577」を発表した。ブレーカーやコンセントなど分電盤や家電、給湯器などに搭載することで、地震発生時に正確に揺れを検知し、各種機器を安全に停止させる用途を想定している。同社が、地震検知向けのセンサーモジュールを開発するのは初めてである。
BW9577は、地震による建物被害を数値化した「SI値」を活用している。一般的な地震の揺れ測定には、加速度の振幅を判定する「Gal値」が用いられている。東京ガスのWebサイトによると、気象庁が整備する地震計測網の計測震度とSI値は相関が高いことが分かっており、被害の有無はGal値よりもSI値で判断する方が正確という。
同社は今回、SI値に着目したアルゴリズムを開発。実測したデータの解析を通じて、加速度データのデジタル信号処理、計算パラメータ、計算シーケンスの最適化を行うことで、従来の機械式センサーと比較して、高精度な地震検知を実現した。
日常生活に起因する人為振動に対しては、誤検知防止機能を搭載。各振動波形の周波数を分析し、地震波形と人為振動波形を区別することが可能である。
業界最小という9.3×9.8×2.1mmを実現したのも特長だ。ローム子会社のKionix製MEMS 3軸加速度センサー、ラピスセミコンダクタの32ビットマイコンを採用し、最適設計を行ったとする。各種機器に新機能を搭載する際の設計負担を軽減する。
BW9577は2017年8月からサンプル出荷、同年12月に量産を開始する予定である。
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