脈波センサー、低い電力消費で高精度に検出:ウェアラブル機器に最適
ロームは、脈波センサー「BH1790GLC」を開発し、サンプル出荷を始めた。消費電力が小さく、高精度な脈波検出を実現した。スポーツバンドやスマートウォッチなどウェアラブル機器の用途に向ける。
新構造フィルター、赤外線の影響を1/10以下に低減
ロームは2016年11月、脈波信号を高い精度で測定できる脈波センサー「BH1790GLC」を開発し、サンプル出荷を始めたと発表した。消費電力が小さく、スポーツバンドやスマートウォッチなどウェアラブル機器の用途に向ける。
BH1790GLCは、同社の光センサー技術と独自のアナログ回路技術により、センサーの感度を高めている。このため、LEDの輝度が低くても脈波を正確に検知することができるため、安定した脈拍数の取得が可能となった。消費電力は従来に比べて約74%削減できるという。
フォトダイオードは、脈波検出に最適なグリーン波長感度に合わせた製品を用いている。受光部の光学フィルターは、グリーンフィルターと赤外線(IR)カットフィルターを組み合わせるなど、脈波センサーに特化した構造となっている。これによって、高い精度を実現しつつ、赤外線の影響も従来に比べて10分の1以下に抑えることができた。
BH1790GLCは、輝度や順方向電圧(VF)の低いLED素子を用いて、脈波信号を検出することができる。このため、LED電源用DC-DCコンバーター回路が不要となり、基板への実装面積は、従来に比べて30%削減することが可能になるという。
BH1790GLCは、動作時の消費電流(LEDオフ時)が200μA、パワーダウン時の電流は0.8μA、電源電圧範囲は2.5〜3.6Vと1.7〜3.6V。動作温度範囲は−20〜85℃となっている。パッケージの外形寸法は2.8×2.8×0.9mm。サンプル価格(税別)は600円である。
なお、汎用マイコンボード「Arduino Uno」を用いて、脈波測定などを簡便に行うための拡張ボード(センサーシールド)「BH1790GLC-EVK-001」も用意した。2016年11月よりチップワンストップやコアスタッフ、アールエスコンポーネンツのウェブサイトから購入することができる。
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