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首都大学東京、導電性ポリマーの精密合成法開発:光機能材料開発の基盤技術(2/2 ページ)
首都大学東京の野村琴広氏らは、優れた光機能を発現するπ共役ポリマーの精密な合成法を開発した。
π共役ポリマーの末端に異なる官能基をほぼ100%導入
もう一方の末端は、反応しやすい芳香族ビニル基である。このことから、既存の反応で容易に官能基の変換及び導入が行えるという。これらの方法を用いて、π共役ポリマーの2つの末端に、異なる官能基をほぼ100%の確率で導入することに成功した。
研究チームは、合成したポリマーの発光特性を測定した。その結果、光の強度や色が末端官能基の種類によって異なることが分かった。末端官能基とπ共役ポリマーとの相互作用によるもので、π共役ポリマー単独では観測することのできない発光特性だという。
今回の研究成果は、ポリマーの特性と末端官能基との関係性を詳細に解明しただけでなく、他の材料との接合や固定化、複合化や集積化も含めたより緻密な材料設計の可能性を広げた、とみられている。
なお、研究成果の詳細は、ドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で公開される。
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