浜松ホトニクス、新貝工場内に新1棟完成:光半導体素子の生産能力増強
浜松ホトニクスの新貝工場(静岡県浜松市)内に新1棟が完成した。2017年5月より稼働する。光半導体素子の後工程を担当する新貝工場全体の生産能力は、これまでの2.5倍に増強される。
自然災害や環境対策にも配慮した新工場
浜松ホトニクスは2017年3月、新貝工場(静岡県浜松市)敷地内に建設していた新1棟が完成したと発表した。2017年5月より稼働する。これにより、新貝工場全体の生産能力はこれまでの2.5倍に増強される。
同社の新貝工場は、光半導体素子の後工程を担当する専用量産工場である。新1棟では、X線非破壊検査装置及び、衝突防止や自動エアコン、自動ライト、自動ワイパー、車内光通信といった自動車関連システムに向けた受発光素子、医療機器向けMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)、ヘルスケア向けセンサーなどを製造する。後工程の生産能力を増強することで各種センサーの需要拡大に対応していく。
新1棟は、4階建てで延べ床面積は9342m2。1階と2階にクラス1万のクリーン度を持つ組み立て工程がある。3階は製品検査/梱包工程となる。4階は製造事務所などが入る。総工費は約28億円。また、月産600万個の生産能力を持つ製造ラインには、チップオンボードパッケージやプリモールドパッケージ、フリップチップパッケージなどに対応する組み立て装置及び検査装置を導入した。
新貝工場では現在、旧1号棟(管理棟)と3号棟(製造棟)が稼働中である。新1棟の完成に伴い、老朽化が進んでいた旧1号棟を撤去し、管理機能は新1棟に統合する。3号棟の生産能力は月産400万個であり、新1棟の本格稼働により新貝工場全体の生産能力は月産1000万個に増強される。
新1棟は、地震や水害など自然災害に対する対策も十分に行っているという。また、LED照明器具の採用や断熱対策など、省エネにも配慮した。建屋の構造は将来の製造能力拡張を視野に入れて設計したという。
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