拡張性備えた最大8CH 16ビット任意波形発生器:無限に接続できる
Tektronix(テクトロニクス)は2017年4月、任意波形ジェネレーターとしてサンプルレート10Gサンプル/秒、分解能16ビットを実現した「AWG5200シリーズ」を発表した。最大8チャンネルを備える他、接続上限なく複数台を接続、同期できる拡張性を持つ。
チャンネル当たり140万円
Tektronix(テクトロニクス)は2017年4月18日、サンプルレート10Gサンプル/秒、分解能16ビットを実現し、最大8チャンネルを備える任意波形ジェネレーター「AWG5200シリーズ」を発売した。8チャンネルモデルの最低価格は1080万円(税別)。1チャンネル当たり140万円の価格設定であり「多チャンネルを必要とする用途を中心に優れた価格性能を発揮するのも新製品の特長」(テクトロニクス)とする。
AWG5200シリーズは主にMassive MIMO(大規模MIMO)など第5世代移動通信(5G)関連や、量子コンピュータ、防衛用レーダーなどの最先端技術開発現場向けに製品化された任意波形ジェネレーター。これらの開発現場では高い信号忠実度、高速性が求められるだけでなく、多チャンネルでの信号生成、容易にチャンネルを増設できる拡張性が求められている。
そこでAWG5200シリーズは、最大8チャンネルのモデルを用意。「このクラスの多チャンネル品では、複数チャンネルを使用した場合、ジェネレーターとしての特性に制約が生じる場合が多いが、AWG5200シリーズの各チャンネルは独立し、16ビット分解能、10Gサンプル/秒のサンプルレートなどの性能はチャンネルごとの性能であり、8チャンネル同時使用時でも変わりない」(同社)とする。AWG5200シリーズは、複数台を接続し同期できる機能を備える。さらに接続台数の上限はなく「まさに無限のスケーラビリティーを提供する」(同社)という。
32チャンネルデジタル出力、直接8GHz生成機能も
8GHzまでのRF信号を直接生成できる機能の他、最大32チャンネルのデジタル出力(マーカー出力)を備え、外付け機器の必要性を抑えた点も特長だ。スプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)は、−70dBc(10Gサンプル/秒、DC〜1.25GHz時)。
筐体は幅460.5mm、高さ153.6mmと「複数台を重ねて使用することを前提にして薄型になっている」(同社)。「先日、量子コンピュータに関連した海外の展示会で参考展示したところ、多チャンネルに対応する任意波形ジェネレーターということで多くの引き合いを得た。日本国内でも量子コンピュータの開発に取り組む企業、大学は多く一定の需要を見込んでいる。量子コンピュータ以外にも無線、レーダー関連、民生用インタフェース分野での採用を見込んでいる」(Tektronix)とし、各用途に対応する波形生成プラグインも用意している。
AWG5200シリーズは、8チャンネルモデルの他、4チャンネル、2チャンネルの各モデルをラインアップ。なお、2チャンネル品の最低価格は618万円(税別)となっている。
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