5G向け28GHz帯多素子アンテナ/RFモジュール:Massive MIMOを可能に
三菱電機が、5G(第5世代移動通信)基地局向け28GHz帯多素子アンテナ/RFモジュールを開発した。このモジュールの広信号帯域幅は800MHzで、ビームフォーミングは水平±45度。同一周波数で同一時間に複数の信号を空間多重送信する技術であるMIMOを発展させたMassive MIMOを実現することができる。
三菱電機は2017年4月18日、800MHzの広信号帯域幅と水平±45度の広角ビームフォーミングを実現する28GHz帯多素子アンテナ/RFモジュールを、5G(第5世代移動通信)基地局向けに開発したと発表した。
この多素子アンテナ/RFモジュールは、256素子の多素子アンテナと高周波回路を一体化した製品だ。高周波回路を広帯域化することで、800MHzの広信号帯域幅を実現し、高速大容量通信を可能にしている。また、ビームフォーミングを水平±45度に広角化しており、エリアカバレッジの拡大に貢献する。120×240×28mmと小型のため、容易に設置できる。
同モジュールを活用すれば、Massive MIMOを実現できるという。Massive MIMOは、広帯域幅を確保できる高周波数帯の利用と、高周波数帯で大きくなる伝搬損失を多素子アンテナで補償しながら同一周波数で同一時間に複数の信号を空間多重送信する技術であるMIMOを組み合わせた技術。5Gで要求される20Gビット/秒(Gbps)の高速伝送を可能にする技術として有力だ。
アンテナ方式はプリンテッドパッチアレイ。アンテナ配列は垂直も水平も16ずつで、アンテナ利得は28dBi以上だ。三菱電機は今後、本モジュールを用いた高速大容量通信の検証を進め、早期実用化を目指すとしている。
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