新技術のレンズや光学ユニットで新分野を開拓:半導体製造工程を総合的にカバー
京セラオプテックは、「レンズ設計・製造展 2017」で、半導体部品製造の前工程に用いる「露光装置用レンズユニット」やADAS(先進運転支援システム)用途に向けた赤外線レンズの開発品などを展示した。
新型パッケージ「FOWLP」向け露光装置などを視野に
京セラオプテックは、「レンズ設計・製造展 2017」(2017年4月19〜21日、パシフィコ横浜)で、半導体部品製造の前工程に用いる「露光装置用レンズユニット」やADAS(先進運転支援システム)用途に向けた赤外線レンズの開発品などを展示した。
同社は京セラグループのレンズおよび光学機器メーカーである。2016年11月には、京セラの子会社となった光学部品専業メーカーのメレスグリオと経営統合を行った。これにより、それまでメレスグリオが開発を行ってきた、露光装置用レンズユニットの事業が加わり、新たに取り組むことになった。
フォトリソグラフィ工程で用いるレンズユニットは、スマートフォン用SoC(System on Chip)などの新たなパッケージ技術として注目されている「FOWLP(Fan Out Wafer Level Package)」の再配線層を形成するために用いる露光装置などをターゲットにしている。外形寸法は鏡筒直径が400mm、長さは1315mmとなっている。解像度は1.5〜2μmに対応する。「レンズユニットの組み立てラインでは、精密な調整をインラインで行っている。これにより生産性が向上し、納期対応なども万全である」(説明員)と話す。
同社はこれまで、半導体製造の後工程で用いられるフリップチップボンダー向け光学ユニットなどを供給してきた。新たに露光装置用レンズユニットを製品群に追加したことで、「半導体製造の前工程から後工程まで、高精度で超精密なレンズを用いた光学ソリューションを総合的に提供することが可能となった」と述べる。
赤外線レンズ、車載赤外カメラを小型に
赤外線レンズは、遠赤外線(波長8〜14μm)の透過性に優れており、物体の形状や温度などを可視化できることから、車載カメラや監視カメラなどで応用が拡大している。特に、ADAS用途で用いられる赤外カメラは、高解像度でありながら、より小型でレンズ長の短い製品が求められているという。
同社は現在、さまざまな赤外線センサー向けに、シリコンの赤外線レンズを大量に生産している。これとは別に新たに開発しているのが、カルコゲナイドガラスを用いた赤外線レンズである。高度な非球面レンズを独自の熱成形技術で加工する。「赤外線センサーが同一であれば、シリコンの赤外線レンズを用いた場合に比べて、大きさをほぼ半分にすることができる」(説明員)と話す。ADAS用途の赤外カメラなどのニーズに対応した製品である。
参考展示したカルコゲナイドガラスを用いた赤外線レンズは、2017年度以降にサンプル出荷を始める予定である。
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