ドローンで農園見守り、169MHz帯通信をロームがデモ:テクノフロンティア 2017
ロームは「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、ドローンメーカーであるenRouteとともに、ロームの部品を搭載したドローンを飛行させるデモを行った。ロームがドローンのデモを行うのは初めてとなる。
ドローンで農園をモニタリングするデモを披露
ロームは「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」で、ドローンを飛行させるデモを行った。みかん農園をモニタリングするというアプリケーションを想定したものである。荷台のようなものにドローンを載せて農園まで運び、ドローンを飛行させて、みかんの木のそばに挿し込んでいる土壌センサーのデータを収集し、基地局に送信するという仕組みになっている。土壌センサーのデータは、920MHz帯を利用するWi-SUNでドローンに送信し、ドローンからは169MHz帯を使った特定小電力無線で基地局に送信する。さらに、ドローンはワイヤレス充電ができるようになっていて、ドローンを載せて運ぶ荷台にワイヤレス給電チップが搭載されている。
ドローンはenRoute(エンルート)が開発したもので、ロームの部品がいくつか搭載されている。ドローンの姿勢検知、姿勢制御用のモーションセンサー、位置情報を取得するための地磁気センサー、センサーからのデータを基地局に送信するための無線通信モジュールなどだ。ワイヤレス給電向けのトランスミッターICとレシーバーICもローム製で、ワイヤレス給電規格の「Qi」に準拠している。出力は15Wだ。さらに、土壌センサーは、ロームの子会社であるラピスセミコンダクタが開発したものだ。
169MHz帯対応無線モジュール
特に注目すべきは、169MHz帯対応の無線通信モジュールである。169MHz帯は、総務省が2016年8月に電波法を改正した際、「無人移動体画像伝送システム」向けとして新たに割り当てられた周波数帯である。169MHz帯対応の無線通信モジュールは、もともとラピスセミコンダクタが手掛けてきたサブギガヘルツ帯域無線通信LSI「ML7345」と出力1Wのアンプを組み合わせたもので、ロームは、enRouteと共同で、チップおよび周辺回路を開発中だ。現時点での具体的な仕様は、周波数範囲が160MHz〜960MHz、電源電圧が5V、受信電流が8.5mA、スリープ電流が0.9mA、データ量は50kビット/秒、パッケージは5×5mmの32ピンWQFNである。ロームによれば、2017年中にはサンプル出荷できる見込みだとしている。
ロームの説明担当者は「これまでは、ドローンに必要な技術や部品を開発することが重要だった。今後は、ドローンで何ができるかを検討する時期に移行している。民生レベルでドローンを活用することはまだ難しいかもしれないが、農林水産業をはじめとした産業向けでは、協業できる分野も多いのではないか」と語った。
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