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自動車市場に本腰を入れる台湾PC市場での成功モデルを再現?(2/2 ページ)

台湾が、本格的に自動車市場に狙いを定めている。現時点では、自動車分野にキープレイヤーとなる台湾メーカーはないものの、PC事業やファウンドリー事業における成功事例を持つ台湾は、車載分野においても力をつけていく可能性がある。

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動きが加速する自動車業界

 IntelによるMobileyeの買収や、QualcommによるNXP Semiconductorsの買収など、大規模な合併買収が相次いだことにより、自動車業界では、企業統合やパートナー提携の動きが明らかに加速している。Chou氏は、「台湾にとって、これまでICT(情報通信技術)において成功させてきたビジネスモデルを、自動車市場でも再現する時がきたと確信している」と主張する。

 Chou氏は取材陣に対し、「台湾は、来たるべき自動運転車市場において、必ずやプレイヤーとして参入するだろう」と述べている。

 だが、台湾のその“野望”は果たして現実的なものだろうか。Chou氏によると、台湾における2016年の車載関連のビジネスの規模は、195億米ドルだった。

 台湾は既に、車載用部品の分野において、かなりの事業規模を確立している。しかし、自動車そのものの開発や設計、製造を手掛ける自動車メーカーは、HAITEC(Hua-chuang Automobile Information Technical Center:華創車電技術中心)の1社しか存在しない。台湾で1年間に生産される自動車はわずか44万台で、全て国内向けに販売されているという。

 Chou氏は、「自動車では今後も、電子部品の搭載が増加していくと予測されることから、台湾としては同分野におけるシェアを拡大したい考えだ。自動車の電子化の他にも、車載インフォテインメントシステムやADAS(先進運転支援システム)、コネクティビティーなどのあらゆる分野が成長基調になるとみられる。自動車1台当たりのエレクトロニクス製品の割合は、40〜50%に達する見込みだ」と予測する。

台湾の強み

 Synopsysは2017年4月20日、台湾・新竹(Hsinchu)において、1回目となる「Automotive Day」を開催した。これにより、車載エレクトロニクス市場への関心の高まりが明示される結果となった。Synopsysが今回のイベントに、大規模な自動車専門家チームを引き連れて来たことからも、同市場における成長のチャンスに高い関心を持っていることが分かる。会場となった会議室は、車載用SoC(System on Chip)の開発に意欲をみせる約350人の半導体チップ開発者たちで埋め尽くされた。

 Synopsysのチェアマンであり共同CEOを務めるAart de Geus氏は、台湾には、車載エレクトロニクス市場参入において強みとなるポイントが2つあると話す。

 1つ目は、中国のすぐそばに位置しているという点だ。中国には、これまで自動車分野における経験や専門知識を全く持たない、ゼロからスタートした電気自動車メーカーが数多く存在する。

 さらに2つ目として、台湾は起業家精神が強く、政府が国家目標の設定に精力的に取り組むという点が挙げられる。このため、台湾は現在、ゼロからスタートした半導体ファウンドリービジネスの分野において、著しい成長を遂げることに成功したといえる。

 de Geus氏は、「自動車は、サブシステムの集合体となる傾向が強まっていることから、台湾の新興企業にとっては、起業家精神にあふれた力を発揮することができる、歴史的な好機だといえる」と主張している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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