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設計時間1/3へ、ヒロセ電機がEMC試験室を稼働車向けコネクター強化に向けて

ヒロセ電機は2017年4月、自動車向けコネクターなどのノイズ試験を行うためのEMC試験室を開発拠点内に開設し、本格稼働を開始した。

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開発拠点・横浜センター内に、投資規模「数億円」

 ヒロセ電機は2017年4月、自動車向けコネクター事業強化の一環として開発拠点「横浜センター」(横浜市都筑区)内に、電波暗室、シールドルームからなるEMC試験室を開設し、本格稼働を開始した。設備投資規模は「数億円」(同社)という。


本格稼働を開始した広さ5×6×3.6mの電波暗室 (クリックで拡大)

 コネクター大手のヒロセ電機は、スマートフォン/携帯電話機向けをはじめとした民生機器向けコネクター事業とともに、自動車向けおよび、産業機器インフラ向けコネクター事業を主力事業として強化し、継続的な成長を図る経営戦略を掲げる。

 自動車向け事業は、民生機器向けで実績がある高速伝送用同軸コネクターの展開に加え、3~4年前からECU(電子制御ユニット)インタフェース用コネクターの製品開発に本格着手する形で強化を実施。ECUインタフェース用コネクターの製品開発、事業化が進む中で、ノイズ試験の必要性が高まり自社でEMC試験設備を所有することを決定した。

シールドルームと「CISPR22」確認試験対応の電波暗室

 本格稼働を開始したEMC試験室は、製品開発、生産技術開発などの機能を持つ横浜センター内にあった拡張用スペースを活用して設置。伝導イミュニティー試験設備としてシールドルーム(5×6×3.6m)と、放射・伝導エミッション試験設備として3m法電波暗室を整備した。

左=試験台を2台設置できる広さ5×6×3.6mのシールドルーム内 / 右=耐誘導ノイズ試験用試験台。その他シールドルームではBCI(Bulk Current Injection)試験や、バースト試験などの実施が可能だ (クリックで拡大)

既設スペースの床面上に設置した電波暗室。床面から15cmほどの高さでターンテーブルなどを収め、高さを最大限確保している (クリックで拡大)

 電波暗室の広さは5×6×3.6mで、EMI規格「CISPR25」などに適合する。既存建物の空きスペースの有効活用のため高さ方向に制約があったが、薄型のターンテーブルなどの工夫を施し、産業機器用途などで要求される「CISPR22」の確認試験が実施できる広さを確保した。

 「従来は、外部のEMC試験施設を利用してきたが、ノイズ試験ニーズの高まりでどこの外部施設も利用予約を取るのが困難で、1~2週間待たされることがほとんどだった。EMC試験室の稼働で、設計途中で都度、実測が行える環境が整った。シミュレーター環境での設計が多く、あまり実測の経験が積めていない若手技術者の育成においてもEMC試験室は効果を発揮するだろう」(技術本部副本部長兼自動車事業部長 岡野広明氏)と期待を寄せる。

解析環境も強化へ

 ヒロセ電機では、EMC試験室の本格稼働により、EMC評価におけるシミュレーターでの解析結果と実測結果の相関(コリレーション)を実現させる取り組みも強化する方針。従来から短時間で正確にシミュレーター解析が行えるよう簡易なモデルでコネクター単体のEMC解析が行える手法を開発するなどの独自解析技術を構築してきたが「今後は高頻度で実測データとの比較検証が行えるため、一層の解析と実測のコリレーションが実現できる見込み」とする。

 ヒロセ電機では、こうした解析環境の改善も含めEMC試験室の設置により「自動車向けコネクター製品の設計時間は従来比3分の1程度に短縮される見込み」(岡野氏)としている。

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