Apple、売上高は好調だが懸念材料も:中国での低迷や特許訴訟など
Appleは2017年5月2日(米国時間)、2017年度第2四半期(4月1日を末日とする)の業績を発表した。売上高は増加したが、中国における「iPhone」の出荷数の低迷や、Qualcommとの特許係争などをAppleの懸念材料と指摘する金融アナリストもいる。
中国では低迷も、売上高は増加
Appleは、中国のスマートフォン市場でライバル企業がシェアを拡大する中、過去3カ月間は辛うじて穏やかな成長を維持した。金融アナリストは、中国で続く「iPhone」の売り上げ低迷の他に、メモリ価格の高騰やQualcommとの訴訟など、Appleの懸念材料を指摘している。
Appleの2017年度第2四半期(4月1日を末日とする)の売上高は、中国での売上高が14%減少したにもかかわらず、前年同期比5%増となる528億9600万米ドルだった。Appleの売上高の3分の2近くを占めるiPhoneの総売上高は、前年比1%増にとどまった。また、「iPad」は同12%減と低迷が続いている。その一方で、「Mac」シリーズの売上高は前年比14%増だった。
Qualcommとの特許係争
香港のSanford C. Bernsteinでアナリストを務めるToni Sacconagh氏はAppleの四半期決算電話会議で、iPhoneのモデムチップの供給が滞ったり、iPhoneの差し止め命令が出されたりする恐れがあるにもかかわらず、AppleがQualcommへの特許使用料の支払いを保留した理由について尋ねた。同氏は、iPhone10周年に大きな期待が集まっていることに触れ、「Appleの歴史において最も重要な製品の発売を前に、こうした危険を犯すのはなぜか」と質問した。
AppleのCEO(最高経営責任者)であるTim Cook氏は、「QualcommはAppleに対し、公正、合理的かつ非差別的な条件(FRAND条件)で標準必須特許(SEP:Standard Essential Patent)のライセンス供与を行わなかった。この点に鑑みれば、iPhoneの差し止め命令が出されることはないはずだ。そうした判例はたくさんある」と返答した。
Cook氏は、「Qualcommが所有する携帯電話向け特許技術について、FRANDレートでライセンス契約を結ぶには、訴訟を行うしかない。Qualcommは、iPhoneの価格の1%をAppleに請求しようとしている。QualcommのSEPが重要であることは間違いないが、iPhoneのごく一部を担っているだけで、その他の多くの革新的技術との関連はない」と主張している。
Appleは、Qualcommは法外な特許使用料を請求し、その条件を受け入れるよう圧力をかけたとして、2017年1月にQualcommを提訴した。これに対してQualcommは2017年4月に反訴している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 中身が大変身した「iPhone 7」とその背景
2016年9月に発売されたAppleの新型スマートフォン「iPhone 7」。一部では、あまり目新しい新機能が搭載されておらず「新鮮味に欠ける」との評価を受けているが、分解して中身をみると、これまでのiPhoneから“大変身”を果たしているのだ。今回は、これまでのiPhoneとiPhone 7の中身を比較しつつ、どうして“大変身”が成されたのかを考察していこう。 - Appleの新しいカスタムチップ3種を考察
Appleは2016年9月7日(米国時間)、「iPhone 7/iPhone 7 Plus」「Apple Watch Series 2」「AirPods」を発表した。そこにはそれぞれ、Apple独自のカスタムチップが採用される。これらのカスタムチップ「A10 Fusion」「W1」「S2」について、発表された情報を整理しつつ、どのようなものか見ていく。 - Samsungの売上高がIntelを超える可能性も
DRAMとNANDフラッシュメモリの価格が上昇していることから、2017年第2四半期(4〜6月期)におけるSamsung Electronicsの売上高が、Intelを超える可能性が出てきた。 - 2016年マイコンシェア、NXPがルネサスを抜き首位に
IC Insightsが発表した2016年のマイコン(MCU)市場売上高ランキングによると、NXP Semiconductorsがルネサス エレクトロニクスを抜いて首位に立った。 - Appleはどこへ?――ここ1年で買収した10社から検証
Appleは積極的に買収戦略を展開している。2014年5月、CEOのTim Cook氏は、その時点までの18カ月間で24社を買収したことを明らかにした。今回は、Appleが2014年と2015年に行った買収案件の中から10件を紹介し、それぞれの狙いについて考察してみる。 - QualcommがAppleの提訴に反訴、特許係争は泥沼化
Appleは2017年1月に、不公正な特許慣行による損害を受けたとして、Qualcommを提訴した。これに対しQualcommが反訴している。