FPGAが可能にするIoTエッジコンピュータ:AI機能を持つ監視カメラ
PALTEKは、「第6回 IoT/M2M展【春】」で、「FPGAを用いたIoT(モノのインターネット)エッジコンピューティング」や「インダストリアルIoTパッケージ」などのデモ展示を行った。
グローバル対応の産業用IoTゲートウェイも
PALTEKは、「第6回 IoT/M2M展【春】」(2017年5月10〜12日、東京ビッグサイト)で、「FPGAを用いたIoT(モノのインターネット)エッジコンピューティング」や「インダストリアルIoTパッケージ」などのデモ展示を行った。
FPGAを用いたIoTエッジコンピューティングの事例では、ブース内に設置したカメラで会場内を任意に撮影した映像の中から、人の顔らしき映像を検知すると、その特徴などから顔であることを認識するデモを行った。機械学習(推論)に適したロジック回路をFPGAに実装しておくことで、カメラで取り込んだ画像データの整理や選別から推論、加工、圧縮まで、エッジコンピュータ側でリアルタイムに処理することができる。
ブースでは、XilinxのPYNQプロジェクトに対応したZynqベースの評価ボード「PYNQ-Z1」と、さくらインターネットが提供するIoTプラットフォームサービス「sakura.io」などを活用した監視カメラシステムのデモを行った。「FPGAの優れた演算能力によって、多くの処理をエッジ側で行うことができる。この機能を搭載した監視カメラは、クラウド側のサーバに送信するデータを最小限に抑えることができる。また、CT検査装置などの膨大な画像データを遠隔地に送り、健康状態をより正確に判断する用途などにも有用となる」(説明員)と話す。
インダストリアルIoTパッケージのデモ展示では、工場の遠隔監視の事例を紹介した。Robustel製の産業向けIoTゲートウェイ、ユーピーアールが提供するIoTプラットフォーム「Scalenics」、ソラコム製のデータ通信SIMカードなどをパッケージにして提供する。ブースでは、会場内の温湿度や照度の情報をセンサーで収集し、ゲートウェイを介してクラウド側のサーバにデータを送信した。
特にIoTゲートウェイは、「動作温度範囲や防塵性などが産業用途向けの仕様になっていること」「世界の主要な通信規格の認証を受けていること」などを大きな特長として挙げる。また、IoTゲートウェイにはScalenicsが標準搭載されており、「センサーで収集したさまざまなデータを、クラウド側でも分かりやすく可視化することができる」と述べた。欧州では路線バスにIoTゲートウェイが搭載され、バス停に運行状況を表示するシステムに採用されているケースもあるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 人の思いを理解する、自動運転時代のコックピット
東芝は、「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2017)」において、自動運転時代の対話するコックピットを想定した自動車IoT(モノのインターネット)ソリューションのデモ展示を行った。コミュニケーションを想定したAI(人工知能)技術である「RECAIUS(リカイアス)」を使っている。 - ライダーで360度 物体を認識、3次元でマッピング
日本コントロールシステムは「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC2017)」で、ジェスチャー認識エンジンとライダー(レーザーレーダー)を組み合わせて、360度の範囲で対象物を認識し、距離を基に3次元でマッピングできるシステムを展示した。 - 産業向けの3D NAND搭載SSD、ハギワラソリューションズが展示
ハギワラソリューションズは、「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC2017)」で、3D NANDフラッシュメモリを搭載した2.5インチSATA SSDのプロトタイプを展示した。2017年内の製品化を目指すという。 - 指先にのる小型モジュール、7種のセンサーを搭載
エレックス工業は「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC2017)」(2017年5月10〜12日、東京ビッグサイト)で、5.2×9.0mmという超小型のセンサーモジュールを参考展示した。7種類のセンサーとBluetooth Low Energy(BLE)通信チップ、ARMマイコンを集積する。 - FPGAを使い切る高性能コンピューティングを提案
PALTEKとベクトロジーは2017年4月から、ビデオ処理や機械学習、ビッグデータ分析などハイパフォーマンスコンピューティングをFPGAで実現するためのボードベースプラットフォーム「DATA BRICK」の販売を開始する。GPUなどでは実現が困難な高速処理性能をFPGAボードと、FPGA設計ノウハウで実現する。 - 最新FPGA搭載、4K映像や機械学習を高速処理
PALTEKは、ザイリンクス製の最新FPGAを搭載したFPGAコンピューティングプラットフォーム「DATA BRICK」を、ベクトロジーと共同開発した。4Kビデオ処理や機械学習、ビッグデータ分析などの処理を高速かつ低消費電力で実行することができる。