執事のように寄り添うヒアラブル端末の将来像:NEC、音声をインタフェースに(2/2 ページ)
NECは「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」で、耳音響認証技術による個人認証機能や、地磁気センサーを活用した屋内位置測位機能を現時点で搭載し、将来的にはAI(人工知能)チャットボットによるパーソナルアシスタントや、立体音響による聴覚ナビゲーション機能も備える予定のヒアラブルデバイスを展示した。
ヒアラブルデバイスの未来の姿
屋内位置測定の他にも、NECのヒアラブルデバイスはユーザーのさまざまな状態が読み取れる。例えば、加速度センサーやジャイロセンサーで歩数、姿勢、向き、運動量など、マイクで脈波や呼吸パターンなどが取得できる。こうした機能を生かした将来のユースケースとして、NECはAIチャットボットによるパーソナルアシスタントや聴覚ナビゲーションなどを挙げている。
パーソナルアシスタントとは、まるでバトラー(執事)が常に寄り添っているかのように、ユーザーのその都度の感情や行動に合った情報を、AIチャットボットが与えてくれる機能だ。NECの説明員によると、冒頭に記した例以外では「ユーザーが職場の入り口に近づいたら、AIチャットボットが耳音響認証機能を使って解錠してくれる――といったことを考えている」という。
一方、聴覚ナビゲーションについては次のように説明した。「特定の方向から声が聞こえるようにする。例えば、目的地がユーザーの右側にあれば、『こっちですよ』と右から声が聞こえるようにし、後側にあれば後から声が聞こえるようにする。これを繰り返して目的地までユーザーを道案内するのが聴覚ナビゲーションだ。ユーザーの向きを把握するジャイロセンサーと、音に指向性を持たせる立体音響技術の組み合わせで実現できる」。
NECはヒアラブルデバイスの2018年度の事業化を目指し、サービス事業者やデバイスメーカーなどと共同で実証実験を加速するという。また、システム構築事業者に対して、耳音響認証技術や屋内位置測位技術のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を公開するとしている。
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