多層プリント基板にICや受動素子などを内蔵する「ESP」技術:福田昭のデバイス通信(114) TSMCが解説する最先端パッケージング技術(13)(2/2 ページ)
本シリーズの最後として紹介するのは「ESP(Embedded Substrate Packaging)」だ。その名の通り、多層プリント基板にICや受動部品を埋め込む技術である。電源モジュールや高周波無線モジュールでの採用が多く、これらモジュールの小型化に貢献してきた。
電源モジュールと高周波無線モジュールの小型化に寄与
「ESP」、すなわち「部品内蔵基板」を利用したパッケージングは、半導体メーカーやパッケージング請負企業などが手掛けている。技術そのものはかなり古くからあり、いくつかの採用事例がある。
「部品内蔵基板」の応用分野で特徴的なのは、小型パワーモジュール(電源モジュール)や高周波無線モジュールなどでの採用が多いことだ。プロセッサそのものの採用は少ない。プロセッサに電源電圧を供給するモジュールの小型化を目的に、使われることが多い。
国内ではTDK、ジェイデバイス、新光電気工業などが、それぞれ独自の改良を加えた部品内蔵基板を手掛ける。なおジェイデバイスは、大型プリント基板を使ったパネルレベルの一括製造技術(FOPLP)の一環として、半導体チップをプリント基板に内蔵する技術「WFOP(Wafer Level Fan-out Packaging)」を開発していた。
海外ではAT&S(Austria Technologie & Systemtechnik AG)、Infineon Technologies(関連記事:IC埋め込みパッケージで高効率/高放熱性を実現)、ASE(Advanced Semiconductor Engineering)などが、部品内蔵基板を手掛ける。
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