自動運転ではGNSSチップも機能安全対応が必須に:u-bloxが強調(2/2 ページ)
コネクテッドカー市場に注力するu-blox(ユーブロックス)は、次世代のV2X(Vehicle to everything)モジュールやGNSS(全地球航法衛星システム)モジュールの開発を進めている。u-bloxの共同創設者であるDaniel Ammann氏は、レベル4の自動運転車からGNSSが必須になり、それに伴ってGNSSレシーバーは機能安全対応が求められるようになると説明する。
大きな可能性を秘めたV2X市場
u-bloxは、コネクテッドカーで実現されるV2Xを非常に重要視している。V2Xは自動運転を実現する技術の1つとしてよく取り上げられるが、Meimetis氏は、「温室効果ガスの排出量の削減」「交通事故による死亡者数の削減」「渋滞を避けられる効率的な移動」という観点からも、V2Xがもたらす社会的効果、経済的効果は大きいと話す。
米国では、2020年ごろから全ての新車にV2V(Vehicle to Vehicle:車車間)通信機能の搭載を義務付ける動きが始まっている。Meimetis氏は、「米国では、2022〜2023年ごろまでには、V2X通信機能が搭載されている新車の割合がほぼ100%になると予測されていて、このような積極的な導入計画により、V2X市場は巨大な市場に成長する可能性を秘めている」と語った。
u-bloxは、V2X向けの製品開発を加速するべく、積極的な取り組みを行ってきた。2014年8月には、V2X向けの通信規格であるIEEE 802.11p(以下、802.11p)を含む産業機器向けWi-Fi用ベースバンドIP(Intellectual Property)を開発するギリシャのAntcorを買収した。2015年1月には、V2Xモジュールを手掛けるLesswireの短距離無線モジュール事業部門を買収。同年4月には、協調型高度道路交通システム(C-ITS)の開発と普及促進を狙う「CAR 2 CARコミュニケーション・コンソーシアム」に加入した。
さらに2015年10月には、V2Xモジュールのリーディング企業であるCohda Wirelessと、同社のV2X無線モジュール「MK5」の設計ライセンスを独占的に利用できる契約を締結。MK5をベースに、u-blox初となるV2X用の802.11pモジュール「THEO-P1」を発表している。THEO-P1は、NXP Semiconductors製の802.11p対応通信チップの他、パワーアンプ、電源管理IC、キャパシター、水晶発振子などを搭載したモジュールで、外形寸法が約30×40mmと小型な点が特長だ。
u-bloxは、THEO-P1に続く第2世代のV2Xモジュールとして「VERA-P1」を発表した。THEO-P1同様にNXPのチップを採用している。THEO-P1と同等の性能を維持しつつ、小型化した点が特長だ。VERA-P1の外形寸法は約25×30mmで、THEO-P1に比べて38%小型化した。これにより、ルーフトップアンテナやサイドミラーなどにも搭載しやすくなるという。温度範囲も、THEO-P1は−40〜85℃だが、VERA-P1では−40〜105℃まで拡張した。
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