5Gテスト向け波形生成と解析技術、NIが実演:VSTベースの測定システムを使用
NI(National Instruments)は、第5世代移動通信システム(5G)に向けた波形生成/解析技術の実演に成功した。
プレ5G規格や5G New Radioに対応
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は2017年6月30日、米国ハワイで開催された「2017 International Microwave Symposium(IMS)」において、National Instruments(NI)が5G(第5世代移動通信)に向けた波形生成/解析技術の実演に成功したことを発表した。
実演会場では、「Verizon 5G Technical Forum(5GTF)」が策定したプレ5G規格や、3GPPが提唱する5G New Radio(NR)物理層で利用が検討されている波形信号の生成と解析を行った。この実験には、帯域幅が1GHzの第2世代ベクトル信号トランシーバー(VST)「NI PXIe-5840」と、プレ5Gテスト向けに開発したソフトウェアを用いた。
波形生成の実演では、1GHzの帯域幅で離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重(DFT-S-OFDM)と直交周波数分割多元接続(OFDMA)を適用しつつ、サブキャリア間隔やコンポーネントキャリア数などを柔軟に変更できることを示した。さらに、最大256QAMの変調方式への対応をはじめ、電力や隣接チャンネル漏えい電力、エラーベクトル振幅などの計測を行った。
NIはこれまで、さまざまな無線通信規格に対応するVSTベースのRFテストおよびワイヤレステストシステムを提供してきた。NIのバイスプレジデント(ワイヤレス設計/テスト担当)を務めるCharles Schroeder氏はプレスリリースで、「LTE-AdvancedやLTE-Advanced Pro製品テストに採用されているVSTベースのテストシステムをそのまま使用して、5G製品もテストすることができる」とコメントした。
第2世代VSTのベースバンドモデル
日本NIは2017年6月28日に、第2世代VSTシリーズのベースバンド版として「NI PXIe-5820」も発表した。PXIe-5820は、複素ベースバンド(I/Q)信号の瞬時帯域幅として1GHzを達成した。従来製品に比べ大きさは半分で、瞬時帯域幅は12倍だという。
PXIe-5820は、広帯域のデジタイザー、任意波形発生器(いずれもI/Qの2チャネル分)に加えて、FPGAを搭載した2スロット幅のPXI Expressモジュールを内蔵した。このため、用途に応じてFPGAを再構成すれば、高速に計測処理を実行することができる。
この他、IEEE 802.11axに準拠した信号のエラーベクトル振幅(EVM)を−54dBまで計測、4Vpp差動入力レンジと2Vpp差動出力レンジを備えたベースバンドの2チャンネル差動I/Q信号、優れたノイズフロアとスプリアスフリーダイナミックレンジ(SFDR)性能、といった特長がある。
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