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高級車1台の電子機器、今後5年で6000ドルにADAS用センサーの需要が高まる

IHS Markitは、ハイエンドカー1台に搭載される電子機器が、今後5年間で6000米ドルに達すると発表した。特に、ADAS(先進運転支援システム)に不可欠とされるカメラ、レーダー、ライダーへの需要が高まるとみられている。

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今後5年間で6000米ドルに


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 米国の市場調査会社であるIHS Markitの車載エレクトロニクス部門で主席アナリストを務めるLuca De Ambroggi氏は、「車載エレクトロニクスは大きく変化し、ハイエンドカー1台が搭載する電子機器のコストは今後5年間で6000米ドルに達する」という予測を発表した。

 IHS Markitは、「車載半導体市場は2022年までに7%以上成長する」と予測している。De Ambroggi氏は、半導体製造装置と半導体材料に関する北米最大の展示会「SEMICON West 2017」(米国カリフォルニア州サンフランシスコ、2017年7月11〜13日)で、「車載半導体市場は2022年まで、車載エレクトロニクスシステム全体の4.5%、車載機器の2.4%を上回る成長が見込まれる。また、車載市場ではソフトウェアの価値が大きく高まると予想される」と語った。

 De Ambroggi氏によると、「自動車メーカーは、複雑化する車載ネットワークとデータ共有の増加に対応するために、コントローラエリアネットワーク(CAN)バスをベースとした標準的なフラットアーキテクチャからより高度なネットワークへの転換を検討している」という。同氏は、「あらゆるエレクトロニクスシステムを、セキュリティをはじめとする、より厳しい安全基準に対応させる必要がある」と指摘している。

 同氏は、「将来的にはAI(人工知能)によって完全な自動運転(レベル5)が実現されるだろう。だが、現在の半導体技術はレベル5の性能、安全性、コスト要件を満たすレベルには達していないため、実現は何年か先になると予想される」と述べている。

センサーなどの需要が高まる

 車載市場は、必要な開発費を単独で支えられるほど大きくはない。そのため、車載向けにカスタマイズできる汎用半導体の必要性が高まると考えられる。

 車載AIシステムは、歩行者や障害物を認識するだけでなく、認識した情報から次の動きを予測することも求められる。チップレベルの音声認識は、車載インフォテインメントに利用するには十分な精度に達しているが、運転支援アプリケーション向けには大幅な改善が必要だ。

 De Ambroggi氏は、「自動運転車向けの標準的な運転ライセンスを作成して、自動走行可能なレベルの精度を備えた車を認証する必要がある」と付け加えた。

 自動運転車には今後、レーダーやカメラの他に、ライダー(レーザーレーダー)が搭載されると予想され、2025年には約3500万台の需要が見込まれる。同事業をめぐっては、15社ほどが技術を競い合っているという。

 自動運転車はセンサーからの入力情報を相互にリンクさせて、精度と冗長性を向上する必要がある。IHS Markitは、「2025年には、高性能運転支援システム向けセンサーフュージョンのコストが倍増する」と予測している。ただし、パーキングアプリケーション向けの基本的なサラウンドビューセンサーフュージョンはコモディティ化が進み、コストは半減すると予想されるという。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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