東芝、TSVを採用した1Tバイトの3D NANDを試作:2017年中にサンプル出荷開始
東芝メモリが、複数の半導体チップを1つのパッケージ内で積層する「TSV(Through Silicon Via)」を活用し、総容量1Tバイトの3次元フラッシュメモリのプロトタイプを開発した。
総容量1Tバイト
東芝メモリは2017年7月11日、半導体チップの内部を垂直に貫通する電極を用いて複数の半導体チップを1つのパッケージ内で積層する技術「TSV(Through Silicon Via)」を採用した3ビット/セル(TLC:Triple Level Cell)の3次元(3D)NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」を試作したと発表した。
TSVは、複数のチップの内部を垂直に貫通する電極を用い、データ入出力の高速化と消費電力の低減を可能とする技術だ。2次元のNANDフラッシュへの適用実績は既にあり、東芝が2015年8月6日にTSVを採用した最大16段積層(256Gビット)のNAND型フラッシュメモリを発表している。
東芝メモリは今回、48層積層の3D NANDフラッシュにTSVを適用し、書き込みバンド幅と低消費電力性能を向上させるとともに、ワイヤボンディングを用いた製品に比べて電力効率を約2倍に高めた。また、512Gビットのチップを単一パッケージ内に16段積層し、総容量1Tバイトの大容量化を実現した。
BiCS FLASHはパッケージがNAND Dual x8 BGA-152で、インタフェース規格がToggle DDR。容量512Gバイト(8層)の製品と容量1Tバイト(16層)の製品があり、サイズは前者が14×18×1.35mm、後者が14×18×1.85mmだ。東芝メモリは2017年6月に、開発用としてBiCS FLASH試作品の提供を開始した。サンプル出荷は2017年中に開始する予定としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 64層TLCで1024GB容量M.2 SSDを製品化 東芝メモリ
東芝メモリは2017年5月29日、NVM Express(NVMe)SSDの新製品として、64層積層の3ビット/セル(TLC)の3次元(3D)NAND型フラッシュメモリを用い最大容量1024Gバイトを実現した「XG5シリーズ」のサンプル出荷を開始した。 - 東芝、64層 512Gbの3D NANDをサンプル出荷開始
東芝は2017年2月22日、64層積層プロセスを用いた512Gビット(Gb)の3D NANDフラッシュメモリ「BiCS FLASH」のサンプル出荷を2017年2月上旬に開始したことを発表した。 - 東芝がQLCの3D NANDを試作、96層プロセスの開発も
東芝メモリは、同社の3D NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」について、4ビット/セル(QLC)技術を用いた試作品と、96層積層プロセスを用いた試作品を開発し、基本性能を確認したと発表した。 - STT-MRAMでSRAM比1/10以下の消費電力を達成
東芝と東京大学は2016年2月1日、「あらゆる種類のメモリと比べ世界最高の電力性能」というMRAMを開発したと発表した。 - 消費電流3.6mAのBLE4.2対応IC、東芝が参考展示
東芝は、「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日/幕張メッセ)で、Bluetooth Low Energy 4.2対応のICを展示している。業界最高クラスのピーク電流3.6mAを実現。また、256Kバイトのフラッシュメモリを内蔵し、スタンドアローンでの動作が可能になっているという。 - 東芝、3D NANDフラッシュの新製造棟を建設開始へ
東芝が、3次元(3D)NANDフラッシュメモリ「BiCS FLASH」の生産拡大に向け、四日市工場の新製造棟(第6製造棟)の起工式を行った。第1期の完成は2018年夏になる見込み。3D NANDフラッシュや新規メモリの開発を行う開発センターも、第6製造棟に隣接して建設される。