BroadR-Reach開発用ツールの国内販売を開始:Technicaと代理店契約
計測器などの輸入販売を手掛けるガイロジックは2017年7月24日から、Technica Engineering製の車載イーサネット規格「BroadR-Reach」関連ツールの国内販売を開始した。
ガイロジックが9製品の取り扱いをスタート
ガイロジックは2017年7月24日、車載イーサネット規格「BroadR-Reach」(ブローダー・リーチ)の検証、評価関連機器メーカーであるドイツのTechnica Engineering(テクニカ エンジニアリング/以下、Technica)と販売代理店契約を締結したと発表した。同日よりBroadR-Reach−Ethernet変換器などTechnica製品の日本国内販売を開始した。
Technica製品の取り扱いを開始したガイロジックは、電子機器開発向けツールや計測器の輸入販売、サポートを手掛ける企業で、2002年設立。「各業界で1位、2位の実績、技術的優位性を持つツール、計測器ベンダー製品のみを取り扱う」(ガイロジック代表 垣内寛氏)という方針を掲げ、Intel製やARMコア搭載プロッセッサ用エミュレーター、デバッガーを展開するASSET InterTech、BluetoothやUSB用プロトコルアナライザーを手掛けるEllisysなど6社以上のベンダーと販売代理店契約を結び、国内での販売、サポートを行っている。
2008年設立、BMWと共同でBroadR-Reachの評価、検証
今回、新たに販売代理店契約を結んだTechnica Engineeringは、2008年の創業以来常にBroadR-Reach関連ビジネスに特化した企業で、BroadR-Reachの検証、評価に必要な製品を開発販売する他、BroadR-Reachのテスト、評価に関わるコンサルティングサービスやテスト受託事業などを展開する。「Technicaは、BroadR-Reachの黎明(れいめい)期からBMWと共同でBroadR-Reachの評価、検証を行ってきた企業。BroadR-Reach−Ethernetコンバーターなど、BroadR-Reachの評価、検証に不可欠な機器を他社に先駆けて開発、製品化してきた企業であり、取り扱いを決めた」(垣内氏)とする。
Technicaの製品は、BroadR-Reachを用いた通信の上位プロトコルテストを行う場合に有効なハードウェア、ソフトウェア(テスト/シミュレーションツール)で、現状9製品ある。
代表的な製品である「BroadR-Reach メディア・コンバータ」は、BroadR-Reach(100 Base-T1)とイーサネット(100 Base-TX)の変換器で、Broadcom製トランシーバーIC(BCM89810)を搭載した製品(価格:5万4000円/税別)と、NXP Semiconductors製トランシーバーIC(TJA1100)搭載品(価格:6万4000円/税別)がある。他にもBroadR-Reachと光イーサネットのコンバーター、1000 Base-T1とギガビットイーサネットのコンバーターなどもそろう。
12ラインのBroadR-Reach、3ラインのギガビットイーサネット、1ラインのギガビット対応SFPポートをサポートする「BroadR-Reach メディア・ゲートウェイ」は、BroadR-Reachのデータストリームをルーティング、ミラーリング、フォワーディングできる製品。CAN(4ポート)、LIN(1ポート)、FlexRay(1ポート)のモニタリングも行え、価格は33万円(税別)となっている。
さらに、車載ネットワークの検証や分析を行うためのデータロギング、モニタリングに最適な装置として「BroadR-Reach SPYシリーズ」をラインアップ。オリジナルネットワークに影響を与えることなく、BroadR-Reachのデータをギガビットイーサネットポートで監視可能。ログモードでは正確なタイムスタンプ(解像度0.04マイクロ秒)を付加し、全てのBroadR-Reachを同期して記録できる。
「BroadR-Reach SPY mini」(左手前)は、フレーム ジェネレータモードが組み込まれており、既定データを用いて最大98Mビット/秒のBroadR-Reachトラフィックを単体で生成できる (クリックで拡大)
ガイロジックでFAEマネージャーを務める後藤卓氏は「国内の自動車メーカーや電装品メーカーの一部では、Technica製品を海外で購入し、輸入していたと聞く。既にガイロジックがTechnica製品の取り扱いを始めると聞きつけた方からの引き合いもあるほどで、日本国内でも高いニーズがあると実感している。自動車メーカーやECU(電子制御ユニット)メーカーなどに広く提案していく」としている。
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