強誘電体特性評価装置、新規材料にも対応:東陽テクニカが後継機
東陽テクニカは、メモリ材料や圧電デバイスの開発などに用いる強誘電体特性評価システム「FCE10」シリーズを開発、2018年1月より順次発売する。
「IEC62047-30」対応の正逆圧電定数e31測定も可能に
東陽テクニカは2017年9月、強誘電体特性評価システム「FCE10」シリーズを開発し、2018年1月より順次発売すると発表した。メモリ材料や圧電デバイスの開発などに用いられている「FCE」シリーズの後継機種となる。
FCE10シリーズは、メモリやMEMSなどに用いられる強誘電体や圧電体材料の電気的特性(分極特性)、電気−機械結合特性(圧電特性)の評価を行うための測定システムである。現行のFCEシリーズはこれまで、約20年間販売し幅広い用途で活用されてきた。近年は、ハフニウム系材料などが登場するなど、評価対象となる用途が拡大してきた。このため、測定の精度や機能、測定スピードなどを改善した新シリーズを投入することにした。
FCE10シリーズは、高速モデルからベーシックモデルまで3タイプを用意した。高速モデル「FCE10-F型」は、最大三角波周波数が1MHzで、分極ヒステリシス測定など強誘電体の特性評価を高速に実行することができる。スタンダードモデル「FCE10-S型」は、最大三角波周波数が10kHzで、分極ヒステリシス測定の他、PUND測定や三角波ダブルパルス測定などが行える。ベーシックモデル「FCE10-B型」は、最大三角波周波数が1kHzである。分極ヒステリシス測定や変異測定など基本特性の評価用途に向ける。
この他、リモート制御機能により、温度コントローラーや磁場測定器、オートプローバーなど、外部装置と組み合わせて測定することが可能である。また、「e31正逆圧電定数測定オプション」も用意した。これを追加すると、新規格の「IEC62047-30(審議中)」に対応した正逆圧電定数e31測定が可能になるという。
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