クアルコム、セルラーV2Xチップセットを発表:5.9GHz ITSバンドで直接通信
Qualcomm Technologies(クアルコム)は、3GPP Release 14仕様のPC-5に基づいた直接通信に対応するセルラーV2X(Cellular Vehicle-to-Everything)向けのチップセット「Qualcomm 9150」を発表した。
2018年後半に商用サンプル品の供給を開始
Qualcomm Technologies(クアルコム)は2017年9月、3GPP Release 14仕様の「PC-5」に基づいた直接通信に対応するセルラーV2X(C-V2X/Cellular Vehicle-to-Everything)向けのチップセット「Qualcomm 9150 C-V2Xチップセット(以下、Qualcomm 9150)」を発表した。2018年後半にも商用サンプル品の供給を開始する予定である。レファレンスデザインとして、「Qualcomm C-V2X Reference Design」も用意した。
セルラーV2Xは、直接通信とネットワーク通信の2つの送信モードに対応している。直接通信は、5.9GHz帯のITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)バンドを用いて低遅延の通信を行う。これによって、通信事業者とセルラー契約していない場合でも、V2V(Vehicle-to-Vehicle)、V2I(Vehicle-to-Infrastructure)、V2P(Vehicle-to-Pedestrian)などの通信を行うことができる。
ネットワーク通信は、直接通信を補完するためのもので、V2N(Vehicle-to-Network)に4G(第4世代移動通信)や5G(第5世代移動通信)といった移動通信システムを活用する。この機能によって、テレマティクスやインフォテインメント、安全運転に関連する機能などが利用可能となる。
クアルコムは、V2Xを実現するために、IEEE 802.11pに基づくIC製品や関連のチップセットなどを用意してきた。今回発表したセルラーV2Xチップセットを用いることによって、通信の範囲や信頼性など、通信能力をさらに向上することができるという。また、5G NR(New Radio)を活用したセルラーV2Xへの対応なども進めている。
今回はセルラーV2Xレファレンスデザインも同時に発表した。これには、GNSS(全球測位衛星システム)を統合したQualcomm 9150や、ITSスタックを実行するためのアプリケーションプロセッサ、ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)などが含まれている。セルラーV2Xの早期実用化を支援していく。
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