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5Gは固定無線サービスから始まる エリクソン光ファイバーよりも安価

Ericssonは、米国で開催された「Hot Interconnect」で、5G(第5世代移動通信)は、まず家庭の固定ワイヤレスサービスから普及するだろうとの見解を述べた。その後、モバイルネットワークとして拡大していくが、技術的に難しい課題も多く、あらゆる無線技術が5Gの協議の対象となるだろうと語った。

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当初は固定ネットワークから


画像はイメージです

 Ericssonのシニアエンジニアが行った基調講演によると、5G(第5世代移動通信)ネットワークは、まず固定ワイヤレスサービスとして提供され始めるという。その後、スマートフォンに大きな変化をもたらし、最終的には驚異的な数を獲得するという。

 米国の大手キャリアであるVerizonとAT&Tは既に、28GHz帯および39GHz帯で5Gを用いる計画を発表している。2018年末ごろに実際のサービスの提供を開始する見込みだ。Ericssonの著名なエンジニアであるDave Allen氏は、2017年8月28日から30日まで米国カリフォルニア州サンタクララで開催された「Hot Interconnects」で、「光ファイバーで自宅に接続環境を構築するよりも、5Gの固定ワイヤレスサービスを構築する方が簡単だ」と言う。

 5Gサービスの登場などに後押しされる形で、2027年には、無線ネットワーク上に有線ネットワーク上よりも多いトラフィックが行き来するようになるとEricssonは予測している。

 4Gと5Gを一緒に本格展開することは、これまでとは異なる取り組みとなる。完全な5Gのみを商用化するには、大変な労力が必要になるからだ。例えば、ミリ波トランスミッターとレシーバーにはそれぞれ、ビームフォーミング機能を備えたMassive MIMOアンテナを採用する必要がある。この技術を用いると、40dBの信号損失が伴う。5Gでは、使用する周波数帯が3GHz帯から39GHz帯と大幅に上がるためだ。

 「これらの周波数帯では、人間の体や鳥の群れ、走行中のトラックなどを通過した電波からの干渉が発生する。信号損失は有線ネットワークに比べ1000万倍も多くなる」とAllen氏は話す。

 ビームフォーミングは1905年に初めて発表された技術であり、低い周波数では機能しない構造的なインタフェースの手法を用いている。MIMOとビームフォーミングを組み合わせると、スペクトラムの再利用を最大限に高めることができる。

 Allen氏によると、MIMOとビームフォーミングをスマートフォンに搭載することは、5Gの最も困難な課題の1つであるという。同氏は「スマートフォンは、位相を変換し信号を操作して瞬時に自らの位置を再配置することで、基地局との通信に集中することができる」と述べる。

 同様に、5G基地局はいわゆるCoMP(Coordinated MultiPoint)技術を用いて、基地局間でのビームフォーミングのジョブを中継する。Allen氏は「現代の教会の鉄塔は、アンテナとして機能できるように設計されている。位置がよい教会は、キャリアアクセスを提供することで年間3万米ドルも稼ぎ出している」と語った。

 5Gによって、無線技術は新たな分野にも広がり、農場での大規模なIoT(モノのインターネット)から、遅延が許されない工場用ロボットまで、用途が広がるのは間違いない。一方で、エンジニアたちは、IoTで使われる機器のコストをできるだけ低減しなくてはならない。

 Allen氏は、「極めて競争の激しい分野だ。5Gでは、あらゆる無線技術が協議や検討の対象となるだろう」と語った。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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