ミリ波バイタルセンサー、非接触で心拍数を計測:7.5cm離れていれば大丈夫
京都大学のCenter of Innovation(COI)とパナソニックは、離れた場所から心拍数と心拍間隔を計測できる、小型で高感度の「非接触ミリ波バイタルセンサー」を共同開発した。【訂正あり】
離れた場所から複数人の心拍間隔を同時計測
京都大学のCenter of Innovation(COI)とパナソニックは2017年9月、「非接触ミリ波バイタルセンサー」を小型/高感度にするための技術を共同開発したと発表した。従来に比べてサイズを10分の1に小型化し、計測エリアに複数の人物がいても、互いに7.5cm離れていれば、各自の心拍間隔を離れた場所から同時に測定することが可能になるという。
開発した非接触ミリ波バイタルセンサーは、パナソニックのスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術と、京都大学が有する特徴点ベースの心拍推定アルゴリズムを組み合わせた生体情報センシングセンサーである。
2016年1月には、これらの技術をベースに、60GHz帯ミリ波レーダーを搭載したプロトタイプ機を発表し、原理検証を行ってきた。今回は、広帯域の79GHz帯ミリ波レーダーを採用するとともに、主要回路をCMOS技術で1チップに集積した。これにより、測定感度の向上とレーダーシステムの小型化を、同時に実現することができたという。
79GHz帯ミリ波レーダーを採用したことで、これまでは間隔が約60cmないと捉えることができなかった信号を、8分の1となる7.5cm幅でも捉えることが可能となった。これによって、複数人が近接して存在いる場合でも、各自の心拍間隔を1台のレーダーで同時計測することが可能となる。
新たに開発した非接触ミリ波バイタルセンサーは、部屋の天井や壁などへの埋め込み、照明器具や空調機器への組み込みなどが可能である。従来センサーのように身体に装着する必要がない。このため自然な状態で測定することができ、子供や高齢者などの利用者にも特別なストレスを感じさせることがないという。
パナソニックは、今回試作した小型プロトタイプ機を用い、2018年度に保育施設などでの実証実験を行う。実験で得られたデータを基に、さまざまな用途への展開を進めていく予定である。なお、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、千葉・幕張メッセ)のパナソニックブースで、同センサーを紹介する。
◆fontsize=-1◇【訂正:2017年10月2日午後2時/タイトル、本文に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。】
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