パナソニック 眠気を検知、予測し覚醒状態維持:運転者の瞬目や表情をAI処理
パナソニックは、運転者など人間の眠気を検知、予測して、覚醒状態を維持さるための眠気制御技術を開発した。
自覚のない初期段階の浅い眠気も検知
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズは2017年7月、人間の眠気を検知、予測して、覚醒状態を維持さるための眠気制御技術を開発したと発表した。運転者の表情などから、自覚していない眠気なども検知することができ、居眠り運転を抑制することが可能となる。
新たに開発した眠気制御技術は、大きく3つの要素技術からなる。「非接触で人間の瞬目や表情を計測して自覚のない浅い眠りを検知」「車室内環境を計測して、眠気はその後どのように推移するのかを予測」「人間の温冷感、温熱快適性を計測し、快適な覚醒状態を維持」の3点である。
1つ目は、カメラ画像から瞬目や表情などを非接触で、精度よく検出するための技術を新たに開発した。また、これまで収集した計測データから、瞬目や表情に関する約1800のパラメーターと眠気の関係を分析。大原記念労働科学研究所と共同で行った眠気表情の分析結果などに基づいて、眠気レベルを推定する独自のAI(人工知能)技術を開発した。
例えば、目の輪郭を抽出し、まぶたの開口度からまばたきの時間変化をモニタリングする。この度合いを分類することで、浅い眠気まで検知できるようになった。
2つ目が車室内環境と眠気レベルの予測である。同社は千葉大学との共同研究により、着衣の状態に関係なく、人体からの放熱量が所定時間経過後の眠気と関係性があることを明らかにしている。また、独自の赤外線アレイセンサー「Grid-EYE」を用い、人体からの放熱量を非接触で計測するための技術も開発した。さらに、環境センサーで測定した周囲の明るさと、時間経過が眠気に与える影響も明らかにしている。これらの研究成果を基に、人体からの放熱量や周囲の明るさが、その後の眠気にどのような影響を与えるか予測することが可能になったという。
3つ目が、人体の温冷感計測と覚醒状態を維持する技術である。同社は、奈良女子大学と共同で、風流などの影響を受ける車室内環境で適用可能な、温冷感推定技術を開発した。Grid-EYEで人体の温熱快適性を監視しながら、空調を制御することで覚醒状態を維持することができるという。
パナソニックは、開発した技術について、車両やオフィス、教育機関などにおける眠気検知や覚醒状態を維持させるための眠気制御用途に向けて、2017年10月よりサンプル対応を始めることにしている。
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