スキャン範囲と解像度を変えられる3次元ライダー:自律移動ロボット向け
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、3次元距離センサー「3D LiDAR(ライダー)」を開発した。利用シーンに応じて、スキャン範囲と解像度を変更することができる。
垂直方向60度、水平方向270度のスキャンを可能に
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2017年9月、3次元距離センサー「3D LiDAR(ライダー)」を開発したと発表した。施設内や屋外で自律移動するロボットなどの用途に向ける。
同社が開発した3D LiDARは、独自構造のレーザースキャン技術を採用し、垂直方向に60度、水平方向に270度の範囲でスキャンを可能とした。これにより、他のセンサーと組み合わせることなく、単一センサーで広い範囲を3次元距離計測することが可能となる。外形寸法は高さ130×幅120×奥行き140mmである。
同社が応用を想定している自律移動ロボットは、走行環境などによって障害物検知に必要となる範囲が異なる。例えば、人が行き交うような場所では、路面の凹凸も含めてより広範囲の状況を検知しつつ、障害物などの形状把握も必要となることが多いという。
開発した3D LiDARは、垂直方向のスキャン範囲を0〜60度で可変でき、垂直解像度は1.5度、3.0度、7.5度の3種類から選択できるなど、利用シーンに応じた設定が行えるようにした。これによって、ロボットを安定かつ効率的に走行させることができる。検出距離範囲は0.5〜50mである。
屋外の日照環境下でロボットを走行させる場合においても、出射レーザー光と物体に反射して戻った光の光路を同一になるように設計した。これにより、太陽光によるノイズ発生を低減しており、10万ルクスという太陽光下の照度であっても、高い精度で計測することができるという。
パナソニックは、自動搬送機や宅配ロボットなどの自律移動ロボット、フォークリフト、農業機械、建設機械、セキュリティシステムなどの用途に向け、2018年1月より3D LiDARのサンプル出荷を始める予定である。「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、千葉・幕張メッセ)にも出展する。
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