シャープが8K「AQUOS」を展示、医療分野で協業も:「産業の生態系を加速する」
シャープは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日、幕張メッセ)で、2017年8月に発表した8K「AQUOS」を展示している。
70型8K「AQUOS」を展示
シャープは2017年10月2日、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3〜6日)の会場である幕張メッセで記者説明会を開催し、同社のCEATECでのブースについて説明した。
今回の目玉の1つが、8K対応の「AQUOS」である。シャープは2017年8月に70型8K対応のAQUOS「LC-70X500」を、欧州およびロシア、中国、台湾、日本の4地域で発表していて、それをCEATECで披露する。2017年10月2日より予約を開始し、同年12月1日に発売する予定だ。店頭予想価格は100万円である。
シャープ取締役執行役員 8Kエコシステム戦略推進室長の西山博一氏は、「CEATECでは、8Kの素晴らしさを実感してもらいたい」と意気込む。
西山氏は、「8K TVには、素材映像の生成から編集、コンテンツ配信、放送、受信端末、表示と、入り口から出口まで多くの技術がある。当社はディスプレイに強みを持っているが、強みを持っていない分野では、他の企業とパートナーシップを結び、8Kエコシステムを構築していきたい」と語った。
その1つが、内視鏡カメラを手掛けるカイロスとの共同開発だ。シャープとカイロスは、8Kに対応した硬性内視鏡システムを共同で構築した。従来、医師はルーペを装着して手術を行っていたが、同システムにより、70型の8Kモニターを見ながら手術できるようになる。8Kという超高精細画像によって、これまで見ることができなかった細かい血管や神経まで見えるようになるので、手術の効率性と安全性が向上すると期待される。
医療は、数年前から既に8Kディスプレイを導入している分野だ(関連記事:「もう4Kには戻れない」――8Kディスプレイ、医療分野でのニーズ高く)。血管や縫合糸、レントゲン写真などが鮮明に見えるようになるので、手術や診断がしやすくなるという、極めて分かりやすいメリットがある。8Kディスプレイの普及が最も期待できる分野の1つだといえるだろう。
西山氏は、「医療分野以外でもセキュリティや教育など、幅広い分野で8K AQUOSを活用できると考えており、社内でもさまざまなプロジェクトを立ち上げている」と述べる。「2017年12月1日の発売までに100台の予約を見込んでいる。2017年度末までには1000台の販売目標を立てている」(シャープ)
西山氏は、「将来的には、8K+5G(第5世代移動通信)、8K+AI(人工知能)など、8K AQUOSと他の技術を組み合わせる“8Kプラス”の戦略を進めていきたい。産業の生態系をドライブする要因となるよう、8K AQUOSの発展、充実を図っていく」と語った。
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