データ処理のボトルネック、FPGAで解決:IoTからデータセンターまで(3/3 ページ)
Intelのグループ会社である日本アルテラは、東京都内で「インテルFPGAテクノロジー・デイ(IFTD17)」を開催した。IoTからデータセンターまで、スマートにつながる未来を実現するためのFPGAソリューションを提案した。
総合的なソリューションスタックで開発者を支援
基調講演に続き、Intelプログラマブルソリューションズ事業本部でXeon+FPGAシニアマネジャーを務めるデービッド・マンデイ氏が、「ソフトウェアエンジニアにFPGAを」というテーマで講演。ソフトウェア開発者に向けた、FPGAプログラミングモデルのビジョンとソリューションについてその概要を説明した。
マンデイ氏も冒頭、2020年までに押し寄せる膨大なデータ量に触れた。このためにはデータセンターにおける処理能力を増強する必要があり、コンピューティングの高速化はインテルが取り組むべき領域であることを強調した。しかも、その目的は「処理した結果を単なるデータではなく、情報として提供していくことである」と述べた。
高速なコンピューティングが必要な領域の一例として、「自動運転」「ネットワーキング&5G」「クラウドコンピューティング」を挙げ、それぞれの対応策などについて説明した。これらを可能にするのが、FPGAを用いたヘテロジニアスコンピューティングアーキテクチャであることを繰り返し語った。
しかも、これまでソフトウェア開発を行っていた技術者が、新たなFPGA設計者となる可能性が高いという。こうした技術者の設計業務を支援するため、インテルはFPGAに最適化したライブラリーやコンパイラ、フレームワーク、開発キットなど、包括的なソリューションスタックやエコシステムを用意し、提供している。
2017年はFPGAaaS(FPGA as a Service)の幕開け
さらに、日本アルテラでアクセラレーション&データセンターのビジネスデベロップメントマネジャーを務める山崎大輔氏が、「未来をアクセラレート〜データセンターからIoTまで〜」をテーマに講演した。山崎氏は注目すべき4つの領域として「クラウド」「NFV(Network Function Virtualization)」「人工知能(AI)」「ビッグデータ」を挙げ、これらの領域における高速化について紹介した。
例えばクラウドの領域では、「2017年がFPGAカード実装の元年に当たり、これを利用したサービスが始まった。パブリッククラウドプロバイダーによるFPGAaaS(FPGA as a Service)の幕開けである」と話す。この結果、「ディープラーニングでGPUに比べ5倍の性能が得られた、顔認証はソフトウェアによる処理に比べて10倍も高速、といった報告が相次ぎ発表されている」という。
この他、同講演の中でパートナー企業である「さくらインターネット」や「長瀬産業」「LeapMind」「WASAI」の担当者らによるFPGAソリューションの事例が紹介された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Intelの高性能・高密度パッケージング技術「EMIB」の概要
今回は、Intelが開発した2.nD(2.n次元)のパッケージング技術「EMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge)」を解説する。EMIBではシリコンインターポーザの代わりに「シリコンブリッジ」を使う。その利点とは何だろうか。 - Intel、3Dメモリの生産拡大に向け設備投資を増加
Intelが、3D(3次元) NAND型フラッシュメモリや「3D XPoint」メモリの生産拡大に向け、設備投資を増加する。Intelの不揮発メモリソリューショングループは、最も規模が小さい事業部門でありながら、売上高では高い成長率を記録している。 - Intelが10nmプロセスの詳細を明らかに
Intelは2017年に10nmチップ製造を開始する予定だ。さらに、22nmの低電力FinFET(FinFET low power、以下22nm FFL)プロセスも発表した。GLOBALFOUNDRIESなどが手掛けるFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)に真っ向から挑み、ファウンドリービジネスで競い合う。 - “新たなうねり”となる5G、インテルが目指す未来
Intel(インテル)は2017年3月2日、最新の取り組みに関するプレス向けセミナーを開催し、IoT社会に向けて求められる5G(第5世代移動通信)の動向について説明を行った。 - IntelがAI専門の部門を新設、開発を加速
Intelが新部門「Artificial Intelligence Products Group」を開設すると発表した。AI関連の取り組みをここに集約し、開発を加速することが狙いだ。 - インテル、FPGA戦略の踏襲をコミット
Intel(インテル)のグループ会社である日本アルテラは、東京都内で「インテルSoC FPGAデベロッパー・フォーラム(ISDF)」を開催した。SoC FPGAの製品戦略などについて、これまでの方向性を踏襲していくことを表明するとともに、会場では“インテル色”を全面に打ち出した。