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Qualcommが「Snapdragon 845」を実機でデモ次世代フラグシップSoC

Qualcommは、米国ハワイで開催されたイベントで次世代「Snapdragon 845」の実機デモを披露した。Qualcommの周辺はM&Aの話で落ち着かないが、同社は着々と開発を続けている。

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次期「Snapdragon」の実機デモを披露

 Qualcommは、米国ハワイ州ワイレアで開催されたイベントで、次世代のフラグシップSoC(System on Chip)である「Snapdragon 845」を発表し、実際に動作する様子を披露した。このチップは、スマートフォンに幅広く用いられている「Snapdragon 835」を大幅に(ただし段階的に)強化したもので、セルラーモデム搭載PCを含めた新たな種類のソケットに合わせて調整されている。


Qualcommは、「Snapdragon 845」の実機デモを披露した

 このSoCでは、再設計されたCPUおよびGPUブロックの他、新たな層のキャッシュを搭載したことで、性能が25〜30%向上した。加えて、Ultra HD Premiumビデオエンコーディングなどの機能を備えるようになった。同SoCが、Snapdragon 835と同じSamsung Electronicsの10nmプロセスで製造され、同じ12mm2のパッケージサイズであることを考えると、上述した進化は驚くべきものだといえる。

 Snapdragon 845を搭載したスマートフォンは、2018年6月までに発表されそうだ。グラフィックスとビデオを使用する際の消費電力を従来比で30%削減できるとする。

 Snapdragon 845は、成熟しつつあるスマートフォン市場を席巻するチップベンダーにとって、不安定な時期に発表された。Qualcommは現在、自動車市場とIoT(モノのインターネット)市場へのリーチを拡大するため、NXP Semiconductorsの買収を完了しようとしている。一方、Qualcommの競合であるBroadcomは、Qualcommの敵対的買収に乗り出した。

 大半のアナリストらはSnapdagon 845を高く評価し、Qualcommの市場での地位について楽観的な見方を示した一方、単独企業としての同社の将来については懸念を表明した。

 Tirias Researchを率いるJim McGregor氏は、Snapdragon 845について「大幅なアップグレードによって、前世代品と同じ標準的なプロセスノードで性能を25〜30%も向上させたことは、極めて意味のあることだ」と述べている。

 Qualcommは、Apple、Huawei、Samsungの製品を除き、ハイエンドのスマートフォン市場を席巻している(これら3社が除かれるのは、それぞれ独自開発したチップを採用しているためだ)。一方、Qualcommに最も接近しているライバルである台湾MediaTekは、直近の2世代の製品では、Qualcommに後れを取ってきた。

 MediaTekは、2018年初めに発売する予定の3種類のSoCを発表した。これらのSoCは、エントリーレベルや主力のスマートフォンに搭載されるもので、メモリは最大の1Gバイトに達し、Android Oreo(Goエディション)に対応する。

 市場調査会社のIDC(International Data Corporation)によると、2017年第1〜3四半期に世界で出荷されたAndroidスマートフォンのうち、46%にSnapdragonが搭載されていたが、MediaTekのSoCのシェアはそれに次ぐものだったという。

Qualcommに迫るBroadcom

 McGregor氏は、QualcommがNXPの買収をまとめられると見込んでいるが、買収により1つになった企業がBroadcomから逃れられるかどうかについては懐疑的だ。Qualcommはコストの削減と、買収した企業の一部を売却することで知られているからだ。Broadcomの株価は過去5年以上にわたり、Qualcommをしのぐ形で高騰し続けている。そのことから、財務的な観点から見れば、NXPの株主はほぼ間違いなく、(Qualcommではなくむしろ)Broadcomによる買収を承認するだろうとMcGregor氏は分析した。

 同氏はさらに「そのような情勢を変える唯一の策は、QualcommがNXPの買収を終えた後すぐに、Marvell Technology GroupやCaviumといった企業の買収に乗り出すことだ」と述べた。

 Jon Peddie Researchの主席アナリストであるJon Peddie氏は、「もしBroadcomがQualcommの買収に成功すれば、業界にとって非常に残念な日となるだろう。従業員たちの士気は消失し、Broadcomからの技術流出が進むとみられる。最終的に、Broadcomは中身のない空っぽの企業となり得る可能性もある」と語った。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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