Qualcommを諦めないBroadcom、敵対的買収を開始:次の山場は18年3月6日
Broadcomの買収提案を即座に拒否したQualcommに対し、Broadcomが敵対的買収を仕掛け始めた。次の山場は2018年3月6日に開催されるQualcommの株主総会になりそうだ。
Broadcomが敵対的買収を開始
Qualcommは、取締役会のメンバー交代を迫るBroadcomの敵対的行為に対して即座に拒否を表明したが、Broadcomが攻撃の手を緩める気配はない。Reuters(ロイター通信)によると、次の大きな局面は2018年3月6日に開催されるQualcommの株主総会で、Qualcommの株主が買収提案を支持するかどうかについて採決する予定だという。
Broadcomは買収によって成長してきたが、Qualcommの買収は最大の取引となる。Broadcomの大胆な買収戦略は、関係筋以外からも称賛を得ている。
筆者はここ数週間でBroadcomの元ITエンジニア数人と会談した。彼らは、所属していたプロジェクトや研究開発費が削減されたことでBroadcomを後にした。元LSIのエグゼクティブは、新BroadcomでIoT(モノのインターネット)の事業機会を模索していた時にプロジェクトが中断され、Broadcomを去ることを決断したという。
このエグゼクティブは、「こうしたBroadcomの取り組みは、金融工学的には素晴らしい」と述べている。同氏は、「大企業が生み出すイノベーションが減少すると、ベンチャー企業が資金調達してイノベーションを推進する。そして、Broadcomのような企業がそのベンチャーを買収する」と説明している。
QualcommのビジネスモデルはBroadcomとは違う。同社は、研究開発に投入した資金を、ハイエンド製品の販売と特許のライセンス供与によって回収している。だが、ライセンス供与による収益の獲得が難しくなっている。
Appleは2017年1月に、Qualcommの法外なライセンス料に対して反旗を翻し、両社の争いは現在も続いている。それ以降、Qualcommの他の顧客企業も料金の引き下げを求めるようになった。
Broadcomと同社のウォール街のアドバイザーは、急襲の機会を狙っている。BroadcomはLSIと旧Broadcomの買収後、両社を事業分割したが、現在買収手続き中のBrocade Communications Systemsについても同様の措置を講じるとみられる。Qualcommの買収に成功すれば、これら3社と同様に事業を細分化するはずだ。
BroadcomによるQualcommの買収は歴史的な買収劇になると予想され、今後数週間は注視すべき案件だ。Broadcomは現在、1株当たり70米ドルというQualcommの買収価格を引き上げていない。代わりに、心理戦で株主と顧客に訴えている。
Broadcomのチーフエグゼクティブを務めるHock Tan氏は2017年12月4日、「Qualcommの株主の多くはQualcommと当社との統合を支持していると聞いている。それだけでなく、顧客からも前向きなフィードバックをもらっている」と述べた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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