ミニマルファブ構想、本格実用化に動き出す:製造レシピの提供も検討
ミニマルファブ推進機構などは、「SEMICON Japan 2017」で、ミニマルファブ向け製造装置の事業化を視野に入れたデモ展示を行った。
開発フェーズからビジネスフェーズへ
ミニマルファブ推進機構などは、「SEMICON Japan 2017」(2017年12月13〜15日、東京ビッグサイト)で、ミニマルファブ向け製造装置の事業化を視野に入れたデモ展示を行った。半導体チップを製造するためのレシピも用意し、必要な顧客に提供できる体制を整える予定だ。
ミニマルファブは、直径0.5インチのウエハーを用いて半導体チップを1個ずつ生産できる製造システム。局所クリーン化生産システムを開発、採用することで、一般的なメガファブと呼ばれる半導体工場で設置する大規模クリーンルームが必要ない。このため、ミニマルファブはオフィスフロア程度のスペースや設備環境があれば、半導体チップの製造ラインを設置することが可能である。
ミニマルファブ構想に賛同した各社はこれまで、前工程や後工程に必要となる基本的な製造装置を開発してきた。「一部の装置でまだ開発中の製品もあるが、半導体チップを製造するためのミニマルファブ向け装置はほぼ出そろった。製造プロセスの開発と並行して、ビジネスを展開するフェーズに入った」(説明員)と話す。
ミニマルファブ向け製造装置の本格的な事業化に向けて、新たな取り組みも行っている。ブースでは、ミニマルファブ用製造装置向けに開発した「μFIXコントローラ」を展示した。産業用パネルPCをベースに、ミニマルファブ用製造装置を制御するための機能を統合した。これまでは、各装置メーカーがそれぞれ汎用のPLC(プログラマブルロジックコントローラー)を採用していた。コントローラー部を標準化したことで、同等の機能を省スペース、低消費電力で実現することができるという。
製造装置の事業化に向けて新たなサービスも計画している。詳細については明らかにしなかったが、半導体チップを製造するためのレシピを暗号化して提供する予定だ。契約したユーザーはレシピが実装された製造装置を用いて、迅速に半導体チップを製造することが可能となる。レシピの内容は開示されないため、ノウハウが外部に漏れることはないという。利用者がプロセスのチューニングなどを行う場合には、レシピ提供者とあらためて交渉する必要がある。
レシピの提供形態については現時点で確定していないが、アプリケーションのダウンロードサービスなどを検討しているようだ。レシピ提供者については、製造装置メーカーや大手半導体メーカーのプロセス技術者に加え、ミニマルファブ利用者なども想定しているという。レシピを導入した技術者からのレビューなど、関連情報も提供する予定である。
なお、つくばの産業技術総合研究所内には、ファブトライアルを行うためのミニマルモデルルームを設置しており、半導体チップの試作や製造ラインの評価などが行える。また、横河ソリューションサービスは、横河電機本社内にミニマルアプリケーションラボを設置。さらに、ミニマルファブの導入準備から導入、運用/保守までトータルでサポートする「まるごとソリューション」を提供している。
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