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東北大学ら、次世代相変化メモリの新材料を開発低電力で高速にデータ書き換え

東北大学は、従来の材料とは逆の電気特性を示す相変化材料を開発したと発表した。この新材料を相変化メモリに適用すれば、データ書き換え時の消費電力小さく、高速動作を可能とする次世代不揮発性メモリを実現することができる。

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従来材料とは逆の電気特性を示す

 東北大学は2018年1月、従来の材料とは逆の電気特性を示す相変化材料を開発したと発表した。この新材料を相変化メモリ(PCRAM:Phase Change Random Access Memory)に適用すれば、データ書き換え時の消費電力小さく、高速動作を可能とする次世代不揮発性メモリを実現することができるという。

 今回の研究は、東北大学大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻の畑山祥吾博士後期課程学生(日本学術振興会特別研究員)と須藤祐司准教授、進藤怜史博士後期課程学生(同)、安藤大輔助教、小池淳一教授らの研究グループが、産業技術総合研究所の齊藤雄太研究員および、韓国Hanyang大学のY.H.Song教授らと共同で行った成果である。

 研究グループは今回、相変化材料であるCr2Ge2Te6化合物について、結晶化温度は約270℃と高く、アモルファス相が耐熱性に優れていることを見出した。しかも、結晶相はアモルファス相より高い電気抵抗を有するなど、従来材料とは逆の特性を示すことが分かった。結晶化による電気抵抗の上昇は、相変化に伴うキャリア濃度の減少に起因していることも明らかにした。

 開発したCr2Ge2Te6は、結晶相の電気抵抗が高い。この結果、アモルファス化するために必要となっていたジュール加熱用の電流を大幅に削減することができるという。また、Cr2Ge2Te6は、電極界面上に極めて小さいアモルファス領域を形成するだけで、大きな電気抵抗変化を得ることができるという。このため、PCRAM動作の消費電力は、従来材料に比べて90%以上も削減することが可能になることを実証した。しかも、開発した相変化材料を採用すると、書き換え動作時間は30ナノ秒と高速である。


左は新材料を用いて作製した記録素子の動作特性。右はこの結果から見積もったデータ書き換えのための動作エネルギー 出典:東北大学

さまざまな相変化材料の結晶化温度と動作速度の関係 出典:東北大学

 これまで、PCRAMの相変化材料としては、Ge2Sb2Te5などGe-Sb-Te系カルコゲナイド化合物(GST)が用いられてきたという。この材料は、書き換え動作時間が数十ナノ秒と高速な半面、温度が約160℃で結晶化するため、隣接する記憶素子で予期しない情報の書き換えが生じることがある。また、PCRAM動作の消費電力が極めて大きいことなども課題となっていた。

 今回開発したCr2Ge2Te6相変化材料は、これらの課題を解決した材料である。研究グループは今後、長期間のデータ書き換え動作に対するメモリの信頼性評価や、Cr2Ge2Te6の高速位相変化メカニズムを解明する計画である。

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