UMC、増収見込めず設備投資を大幅削減:28nm製品が伸び悩み
台湾の半導体ファウンドリーUMCが、2018年度の設備投資費を大幅に削減する。激しい競争が続く28nmプロセスでの売り上げが伸び悩んだことが要因だ。
設備投資費を14億米ドルから11億米ドルに削減
台湾第2位の半導体ファウンドリーであるUMCは、2018年は売上高の増加が見込めないことを理由に、設備投資費を11億米ドルに削減する計画であることを明らかにした。
UMCは2017年に14億米ドルの設備投資を行ったので、2018年はその約4分の1を削減する形だ。同社は、2016年に20億米ドルを投資し、2017年は17億米ドルの設備投資を目標にしていた。
同社は、激しい競争の中で28nm製品の売上高が減少したため、支出の削減を決断したという。2017年第2四半期に同社の最先端プロセスである14nm技術を適用した製造を始めたが、同プロセスが2017年第4四半期の全体売上高に占める割合は2%だった。
UMC共同プレジデントであるJason Wang氏は、2017年第4四半期の決算報告会で、「2018年の売上高は大幅な増加は見込めない」と述べた。同社は、今後2年をかけて事業再編を行っていくという。
UMCは、2018年の同社のファンドリー部門の成長率は1桁台後半で推移すると予想している。これは、世界最大の半導体ファウンダリーであるTSMCの予測とほぼ一致している。
TSMCは、2018年の同社の売上高について、2017年比で15%増と予測。2018年も半導体業界の成長をリードし続けると確信していると述べている。2018年における半導体業界の成長予測は8%だが、TSMCは同社のファウンドリー部門の成長率を約10%と予想している。
UMCは、2017年に全設備投資費の約9%を200mmウエハー生産ラインに投入したが、2018年はこの割合を、約3分の1にまで引き上げる計画だという。200mmウエハー生産工場への投資を拡大することによって、生産能力の増強と平均販売価格の底上げを図りたい考えだ。
Wang氏によると、200mmウエハーで製造するチップの需要は極めて安定しているという。特に、モバイル製品やRFスイッチ、マイコン、ディスプレイドライバー向けで根強い需要があるとする。同氏は、具体的な時期については明言しなかったが、14nmの生産を増強する計画についても明らかにした。
UMCは、「2018年後半に『28nm HPC』と『28nm HPC+』の売り上げを拡大することで、28nm事業の回復を図りたい」と語った。同社は、「28nmのHigh-k/メタルゲートスタックプロセス(『28HPCU』)は、アプリケーションプロセッサやセルラーベースバンド、FPGA、ネットワークICなどの製品に使用できる。新しい28HPCU+は、ウェアラブル機器やIoT(モノのインターネット)、車載アプリケーションの性能を15%向上できる」と説明している。
ただし、アナリストたちは、UMCが28nmプロセスで追い上げるという見方に否定的だ。28nmプロセスは競争が激しいプロセスであることに加え、2018年に22nmプロセスに移行するファウンドリーも増えているとの理由からだ。香港Bernsteinのアナリストを務めるMark Li氏は、「28nmプロセスの需要および供給について、それほど楽観視はしていない。TSMCや中国SMIC(Semiconductor Manufacturing International Corp.)からのプレッシャーも強くなるのではないか。28nmプロセスのテープアウトの数は、2018年は前年比で倍増するとみているが、UMCが占める割合は小さいと考えている」と語った。
なお、UMCは2018年後半にも22nmプロセスでの量産を開始する見込みだ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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