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人間と機械の“意思疎通”が不十分な自動運転技術イスラエル企業が警鐘を鳴らす(2/2 ページ)

自動運転技術に関連する議論は活発に行われているが、自動運転車と人間が運転する自動車が並走する際の危険性については、あまり議論されていない。人間と機械の“コミュニケーションの不足”について、業界はもっと認識すべきではないだろうか。

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セルラーV2XとDSRC

 また同氏は、「もともと、路上における安全性の実現に向けて設計開発されたはずのコネクテッドカーをめぐる議論が、Qualcommなどの、セルラー通信を提唱する企業に乗っ取られてしまったのは、非常に残念なことだ。V2X(Vehicle to everything:車車間/路車間通信)に関する問題は、『DSRC(狭域通信)と5G(第5世代移動通信)のどちらの技術を選択するのか』という問題として提示されている」と述べる。

 技術顧問サービスを手掛けるVision Systems Intelligence(VSI Labs)の創業者であり、主席アドバイザーを務めるPhil Magney氏は、『CES 2018』(2018年1月9〜12日、米国ネバダ州ラスベガス)の開催後に、「V2Xの登場以来、DSRCよりも5Gの方が多く話題に上るのは初めてのことだ」と述べている。

 Zyss氏は、「市場のノイズや混乱が過多になると、DSRCと5Gの間で本質から外れた技術競争が発生し、V2Vで最も重要である安全性に関する目標がその陰に隠れてしまう。DSRCは過去7〜10年にわたる厳しいテストや試行を経て、ようやく人命を救えるレベルに達した。それなのに、われわれはまだ存在すらしない5Gに目を向けている」と述べている。

 Autotalksは、セルラー技術とDSRCが共存する“ハイブリッドカー”に期待を寄せているという。自動車メーカーは既に、LTEのようなセルラー技術を使って自動車をクラウドに接続し、コンテンツのストリーミングや、アプリのダウンロード、アップデートを行っている。だがZyss氏は、「DSRCはセルラーV2X(C-V2X)に置き換えることができるという主張は間違っている」という見解を示した。

 Zyss氏は、「セルラーネットワークは、5Gネットワークがまだ存在していないこと以外にも、接続されたデバイスが基地局と同期しなければならない点が懸念される」と指摘する。同氏は、「セルラーネットワークの同期モデルは、高速移動する対象物と瞬時に通信しなければならないV2V通信に求められることとは大きくかけ離れている」と述べている。

 Zyss氏は、「C-V2Xの支持者は、DSRCの支持者が既に設計、構築、テストしてきたことを再現しようとして、DSRCの開発者たちがたどって来たのと同じ道を歩んでいる。さらに、V2Vアプリケーションに適用された場合は、効率やクロックソースに関して、セルラーネットワーク固有の限界を克服しなければならない」と述べた。

 2019年か2020年には、自動運転タクシーが開始される見通しだ。Zyss氏はこれについて、「業界は、自動運転車と人間が運転する自動車の両方に“安全専用の通信層”を導入する用意があるのか」と質問を投げかけた。

 Zyss氏は、「自動運転車と人間が運転する自動車の事故は既に起こっている」と述べ、「両者の調整の必要性が高まっている」と主張した。

 高速道路に停車中の消防車に衝突した事故など、Teslaの最近の事故では、Teslaがオートパイロット(自動運転)モードであったかどうかにかかわらず(ドライバーはオートパイロットモードを使用していたと証言しているが、Teslaや当局による確認は取れていない)、停止していた車両(この事故では停車中の消防車)が数キロメートル先から近づいてくる他の車両に警告を発していれば、事故は避けられたかもしれない。


Teslaの事故に関する、CBSニュースのスクリーンショット

 Zyss氏は、「センサー(カメラやレーダー、ライダー)には確かに効果がある。ただし、自動車はこれらのセンサーからの信号を誤って解釈する恐れもある。車両自体が他の車両に直接警報を送れば、明確なメッセージがはっきりと届く可能性が高い」と主張した。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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