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車載用マイコンへの要求仕様福田昭のストレージ通信(90) STが語る車載用埋め込み不揮発性メモリ(3)(2/2 ページ)

車載用マイコンに対する要求仕様は、かなり厳しい。車載用マイコンが内蔵する不揮発性メモリについても同様だ。今回は、これらの要求仕様について説明する。

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自動車グレードの動作温度範囲

 マイコンに限らず、自動車が搭載する半導体に特有の条件として良く知られているのは、広い温度範囲である。これには2つの理由がある。

 1つは、自動車が地球上のあらゆる道路を走行することが前提になっていること。特に問題となるのは、低温側である。極寒の地域で走行試験をすることが、自動車の開発には欠かせない。このため、動作温度の下限は−40℃という低い温度に設定されている。

 もう1つは、自動車が内燃機関であり、高熱を発生するということ。パワートレイン(エンジンや変速機構など)の付近は、極めて高い温度になる。エンジン付近ほどではないものの、ほかの部分も真夏の太陽に照らされると、かなりの高温になっていく。そこで動作温度の上限は用途に応じて、+150℃から+85℃までの4段階に区分けされている。


自動車グレードの動作温度範囲。最も厳しいグレード0から、最も緩やかなグレード3まである。いずれも低温側は同じ温度であることに注意されたい。出典:STMicroelectronics(クリックで拡大)

パワートレイン制御用マイコンとボディー制御用マイコンの違い

 プログラムコード用メモリに限定すると、マイコンが内蔵するメモリに対する要求仕様は、パワートレイン/シャシー/セーフティ制御向けと、ボディー制御向けでいささか異なる。前者は165℃と高温での動作をメモリに要求するほか、機能安全要求水準(ASIL: Automotive Safety Integrity Level)で最も厳しいレベルDを満足しなければならない。また記憶容量は2Mビット〜16Mビットと埋め込みメモリとしては大きい。

 後者は動作温度の最大値は125℃とやや下がるほか、ASILのレベルDを要求する場合は少ない。ただし、無線ネットワーク経由でコードのアップデート(OTA: Over-the-Air)を可能にすることが要求される。


プログラムコード用不揮発性メモリに対する要求仕様の違い。左はパワートレイン/シャシー/セーフティ制御向け、右はボディー制御向け。出典:STMicroelectronics(クリックで拡大)

次回に続く

⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧

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