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Li電池のエネルギー密度、従来の約1.5倍に向上:高容量化と高信頼性を両立
マクセルは、リチウムイオン電池の高性能化技術を開発した。エネルギー密度は従来品の約1.5倍となり、耐熱性も高めた。
固体電解質とシリコン系負極材料の組み合わせで実現
マクセルは2018年2月、リチウムイオン電池の高性能化技術を開発したと発表した。固体電解質とシリコン系負極材料を組み合わせることで、エネルギー密度は液系の電解質を用いた従来品の約1.5倍となり、耐熱性も高めた。
同社はこれまで、ニッケル系正極やシリコン系負荷など、電極技術を中心にリチウムイオン電池の性能向上に取り組んできた。2015年にはリチウムイオン電池の高容量化技術「ULSiON(アルシオン)」を開発、シリコン系負極材料(SiO-C)の含有量を増やすことでエネルギー密度を高めてきた。
今回は、固体電解質とULSiON技術を組み合わせた。これによってリチウムイオン電池の容量を高め、長時間の連続使用を可能とした。動作温度の範囲を広げることにも成功した。性能を向上しつつ高い安全性は維持している。
同社は、IoT(モノのインターネット)機器などの用途に向けて、開発した技術を応用した次世代リチウムイオン電池を2020年までに実用化する計画である。なお、開発した技術は「国際二次電池展」(2018年2月28日〜3月2日、東京ビッグサイト)にパネル展示する。
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