CreeがInfineonのRFパワー事業を買収:Wolfspeedの事業を強化
Creeが、Infineon TechnologiesのRFパワー事業を約4億3000万米ドルで買収したと発表した。
Wolfspeedの事業を強化
LEDおよびRFチップベンダーであるCreeは、Infineon Technologies(以下、Infineon)のRFパワー事業を約4億3000万米ドルで買収したと発表した。Creeの子会社であるWolfspeedが手掛ける4Gおよび5G(第5世代移動通信)の事業を強化することが狙いだという。
Creeは、2016年にWolfspeedをInfineonに8億5000万ドルで売却する契約を締結したが、2017年に破談になっている。CFIUS(対米外国投資委員会)が、米国の国家安全保障にリスクを生じさせる可能性がある判断したからだ(関連記事:「InfineonによるCreeのSiC事業買収が破談に」)。
Creeは、今回の買収により、技術、設計、パッケージング技術、製造技術、顧客などの面でWolfspeedの事業が強化されると述べている。InfineonのRFパワー事業は、LDMOSやGaN-on-SiC技術に基づいた、無線インフラパワーアンプ向けのトランジスタやMMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)の分野に強みを持っている。
CreeのCEO(最高経営責任者)であるGregg Lowe氏は、「今回の買収はCreeの成長戦略の重要な要素であり、Wolfspeedが、より高速な4Gおよび5Gへの移行を可能にする技術開発を加速することになるだろう」と語った。
今回の買収により、米カリフォルニア州とアリゾナ州、フィンランド、スウェーデン、中国、韓国の約260人の従業員がWolfspeedに移ることになるという。さらに、LDMOSおよびGaN-on-SiCデバイスのパッケージングとテストを含むInfineonのパワーデバイスの主要施設もWolfspeedに移管される。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- パワー半導体市場、2025年に酸化ガリウムがGaNを抜く
富士経済が、2025年における次世代パワー半導体市場の予測を発表した。SiC、GaNはともに堅調に成長する。加えて有望視されているのが酸化ガリウム系パワー半導体だ。特に中高耐圧領域での優位性が際立ち、2025年には、市場規模でGaNパワー半導体を上回るとみられる。 - 量産間近、酸化ガリウムパワーデバイス
FLOSFIAは「CEATEC JAPAN 2017」で、酸化ガリウムSBD(ショットキーバリアダイオード)を展示している。2018年に、まずは月産30万個の規模で量産を始める予定だ。 - InfineonによるCreeのSiC事業買収が破談に
Infineon Technologiesは、米Creeからパワー&RF事業部として分社化したWolfspeedを8億5000万米ドルで買収する予定だったが、この取引は破談になった。 - パワー半導体、シリコンの置き換えは何年も先
ドイツで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2016」では、SiCとGaNを用いたパワー半導体が多く展示された。パワーエレクトロニクス業界に40年以上身を置く、ECPE(European Center for Power Electronics)のプレジデントを務めるLeo Lorenz氏に、現在のパワー半導体の動向について話を聞いた。 - 中国、半導体産業に新たに3兆円を投資
中国が、半導体産業に新たに2000億人民元(約3.3兆円)の資金を投じるという。専門家の中には、「中国が技術の後れを取り戻すには、相当の投資が必要になるだろう」との声もある。 - 予算なき量子コンピュータ開発、欧米より一桁低い日本を憂う
今回は番外編として、量子コンピュータについて少し触れてみたい。日本が開発した量子コンピュータの原理を、いち早くハードウェアに実装したのは、カナダのD-Wave Systemsであった。