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車載用埋め込みフラッシュメモリ技術のまとめ:福田昭のストレージ通信(98)STが語る車載用埋め込み不揮発性メモリ(11)(2/2 ページ)
今回は、本シリーズで、これまで述べてきた車載用埋め込みフラッシュメモリ技術を総括する。
CMOSロジックと乖離する埋め込みフラッシュの技術世代
車載用に限らず、埋め込みフラッシュメモリはCMOSロジック製造プロセスとの互換性を維持しなければならない。そのため、CMOSロジック製造プロセスの開発時期よりも、埋め込みフラッシュメモリ技術の開発時期は遅くなる。また互換性を維持するためのデバイス技術の工夫も、微細加工を難しくする。
微細加工の技術世代ではCMOSロジックに比べ、2世代以上、時期としては3〜5年ほど、埋め込みフラッシュメモリは遅れて進化してきた。しかも最近では、遅れがさらに酷くなりつつある。20nm未満の技術世代では、技術開発を国際学会で発表しているのはルネサス エレクトロニクスの16nm技術だけである。他のマイコンベンダーは、40nm技術、あるいは28nm技術で埋め込みフラッシュメモリの微細化が停滞しつつある。
28nm以下の微細加工に対応すると期待されているのが、多層配線工程の中に記憶素子を作り込むタイプの不揮発性メモリ技術である。この技術については次回以降で述べたい。
(次回に続く)
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