時速300kmで5Gデータ伝送・ハンドオーバーに成功:日産GT-Rに試験装置を積み込み
NTTドコモなどは2018年4月23日、時速約300kmで移動する移動局と基地局間で28GHz帯を用いた5G(第5世代移動通信方式)の無線データ伝送や基地局間ハンドオーバーなどに世界で初めて成功した(同社調べ)と発表した。
NTTドコモ、NEC、NTTは2018年4月23日、時速305kmで移動する移動局と基地局間で28GHz帯を用いた5G(第5世代移動通信方式)の無線データ伝送に世界で初めて成功した(NTTドコモ調べ)と発表した。
また、時速293kmで下り1.1Gビット/秒(bps)のデータ伝送、時速290kmでの基地局間ハンドオーバー、時速200kmで4Kハイフレームレート映像ライブ中継を行う上りデータ伝送にも世界で初めて(同社調べ)成功したとしている。
超高速実験用自動車を開発し実験
今回の実験は、高速鉄道など超高速移動環境での5Gサービス提供を想定し、自動車を高速走行させて試験を実施。カーレーシングチーム「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」の運営会社が実験に協力し、日産GT-Rをベースとして高速走行を可能にする車両チューニングと5G移動局や4Kカメラなどの試験装置の搭載を施した超高速実験用自動車を開発し、走行させた。
実験では、電波減衰性と直進性が強い28GHz帯(700MHz幅)を利用した。このため、事前に高周波数帯電波伝搬特性の測定を行い、その解析結果に基づいて基地局と移動局で超多素子アンテナを採用し、さらにビームフォーミングおよびビーム追従を用いている。また、基地局では送信アンテナダイバーシティを搭載することで安定した通信環境を構築できたとする。
4Kハイフレームレート映像のライブ中継では、4K/120フレーム/秒(fps)の映像データをNTTメディアインテリジェンス研究所が開発した「リアルタイム4KハイフレームレートHEVC(High Efficiency Video Coding)コーデック」を介して5Gで伝送され、本実験環境のような動きの速いシーンでも滑らかで高い臨場感を実現したという。
NTTドコモはSamsung Electronicsと共同で2016年11月、時速150kmで高速移動する自動車で28GHz帯(800MHz幅)を用いた5G実証実験で2.5Gbpsのデータ伝送に成功していた。
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