エルナー買収の太陽誘電、さらに投資拡大へ:今後3年間で1500億円規模(2/2 ページ)
太陽誘電は2018年5月11日、東京都内で決算説明会を開催し、2018年3月期通期決算および、2021年3月期までの中期経営計画の内容を紹介した。好調なコンデンサー事業のさらなる成長を狙い、今後3年間で1500億円規模の投資を実行するという。
今後3年間で1500億円の投資を実行
今後の経営戦略について、同社社長の登坂正一氏が説明を行った。登坂氏は「売上高3000億円、営業利益率10%、ROE(株主資本利益率)10%以上を2021年3月期までに達成することを目指す」とし、自動車・産業機器などを注力市場として売上構成比を拡大すること、生産性向上を推し進めること、積極的な設備投資を行うことを実行するという。
自動車市場への注力を行う取り組みの一環として、エルナーの子会社化に踏み切った。車載分野で成長が見込まれる導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサーやEDLC(電気二重層キャパシター)などの品目に強みを持つエルナーを迎え入れることで、商品ラインアップ拡充や自動車市場でのプレゼンス強化を狙う。
設備投資に関しては、「これまで今後3年間で1000億円の投資を行うと発表してきたが、今の状況では顧客に対して(供給面で)十分応えられていない」(登坂氏)として、3年間で1500億円の投資規模に拡大することを発表した。既に発表済みである、同社製造子会社の新生産棟(新潟太陽誘電 第3号棟)建設についても言及し、2018年12月頃の完成と2019年4月頃の稼働開始を見込むとしている。
登坂氏は「新棟建設を含む投資を加速し、電子部品の需要増に答えなければならない。また、新商品の開発や新規事業開拓のための研究開発も増やしていこうと考えている」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 太陽誘電、債務超過のエルナーを子会社化へ
太陽誘電は2018年2月26日、エルナーが2018年4月に実施する第三者割当増資を引き受け、エルナーを子会社化すると発表した。 - 積層セラコン増産に向け太陽誘電が新工場建設へ
太陽誘電は2017年11月8日、新潟県上越市の積層セラミックコンデンサーの生産拠点に新たな工場を建設すると発表した。 - 売上高3000億円超の世界へ「野武士を組織化する」
太陽誘電は、主力のコンデンサー、インダクター、通信用フィルターを中心にスマートフォン向けが好調で、2016年3月期に過去最高となる売上高2403億円を達成した。今後も中期的には売上高3000億円の大台突破を狙う方針。事業規模拡大に向けた経営戦略を同社社長の登坂正一氏に聞いた。 - 太陽誘電、0201サイズで静電容量100pFを実現
太陽誘電は、0201サイズ(0.25×0.125mm)で静電容量100pFを実現した製品など温度補償用積層セラミックコンデンサー3品種を新たに開発し、量産出荷を始めた。 - 静電容量220μFで定格電圧10Vの積層セラコン
太陽誘電は、静電容量が220μFで、定格電圧10Vを実現した3225サイズの積層セラミックコンデンサー「LMK325ABJ227MM」の量産を始めた。 - 電源モジュールを小型、高効率化するパッケージ技術
太陽誘電は「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア)」(2018年4月18〜20日、幕張メッセ)で、パッケージ技術「Power Overlay(POL)」を紹介した。