いよいよ登場、JRCのセンチメートル級GNSSチップ:L6受信とマルチ衛星対応を1チップに
日本無線(JRC)は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2018」(2018年5月23〜25日、東京ビッグサイト)で、マルチ衛星システムに対応したGNSS(全球測位衛星システム)チップ「JG11」を展示した。同チップは9×9mmと小型パッケージでありつつも、最大でセンチメートル級の測位精度を提供するという。
日本無線(JRC)は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2018」(2018年5月23〜25日、東京ビッグサイト)で、マルチ衛星システムに対応したGNSS(全球測位衛星システム)チップ「JG11」を展示した。同チップは9×9mmと小型パッケージでありつつも、最高でセンチメートル級の測位精度を提供することが特長だ。
AEC-Q100に対応、車載市場から攻める
同チップは、GPSの他にQZSS、GLONASS、BDS、Galileoと複数の衛星測位システムに対応し、GPSのL1C/A信号とGalileo E1信号、GPSのL2C信号、QZSSのL6信号、GLONASSのG1C信号もしくはBDSのB1信号の中から4周波信号の同時受信が可能。L6信号の受信により、GNSSのみで高精度測位を行うことができる。
また、同チップでは2018年8月より販売開始される「PPPモデル」と、2019年春ごろの発売を予定する「RTKモデル」の2仕様が登場する。PPPモデルは、SBAS(衛星航法補強システム)補正データを用いたPPP(精密単独測位)-SBAS測位をサポートし、メートル級の測位精度を提供する。
RTKモデルではPPP-SBAS測位に加え、L6信号に対応することによるRTK(リアルタイムキネマティック)-PPP測位、外部補正データを用いたRTK測位、L1C/A・L2Cの2周波RTKに対応することで、センチメートル級の測位精度を達成しつつTTFF(初期位置算出時間)の短縮化を実現した。
同チップは車載用ICの信頼性評価規格である「AEC-Q100」に準拠し、インタフェースはUARTを採用する。同社担当者は、「他社で既に測量用途向け(センチメートル級GNSSチップの)製品を販売開始しているが、車載市場にフォーカスした製品は(JG11が)初めてだと思う。高精度カーナビから採用事例を増やし、ドローンや自動運転などに応用分野を広げていきたい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- センチ単位で位置検出、日本無線がGNSSチップ
日本無線は、センチメートル級の精度で位置検出が可能な全地球航法衛星システム(GNSS)チップ「JG11」の開発を始めた。自動運転システムなどの用途に向ける。 - 2018年に誤差数センチの車用測位チップ実現へ
u-blox(ユーブロックス)は2016年9月30日、三菱電機と共同で、測位誤差数センチを実現する準天頂衛星システムによる「センチメータ級測位補強サービス」対応受信チップを開発すると発表した。2018年に自動車向け製品として実用化する。 - 「みちびき」対応のGNSS受信機、1cmの精度を実現
マゼランシステムズジャパンは、「CEATEC JAPAN 2017」で、1cm以下の精度で位置検出が可能なGNSS受信機を展示した。準天頂衛星システム「みちびき」に対応している。 - GPS不要の自律飛行システム搭載ドローン「PF1」
自律制御システム研究所(ACSL)は「テクノフロンティア2017」で、国内で唯一完全に自社開発したというオートパイロットシステムを搭載したドローン「PF1」を公開した。PF1は、独自の位置情報取得システムなど、さまざまな技術を実装。これにより、産業用途に必要な安全で安定した自律飛行を実現している。 - 自動運転ではGNSSチップも機能安全対応が必須に
コネクテッドカー市場に注力するu-blox(ユーブロックス)は、次世代のV2X(Vehicle to everything)モジュールやGNSS(全地球航法衛星システム)モジュールの開発を進めている。u-bloxの共同創設者であるDaniel Ammann氏は、レベル4の自動運転車からGNSSが必須になり、それに伴ってGNSSレシーバーは機能安全対応が求められるようになると説明する。 - ローデ、GNSSシミュレーターを発売
ローデ・シュワルツ・ジャパンは、ベクトル信号発生器「R&S SMW200A」用のGNSSシミュレーターを発売した。