2018年の世界半導体市場、2年連続の2桁成長へ:WSTSが春季予測発表
2018年の世界半導体市場は、ドルベースで前年比12.4%増となる見通しだ。メモリの高成長などにより、2年連続の2桁成長を見込む。WSTSが発表した。
メモリが高い成長率を持続
世界半導体市場統計(WSTS:World Semiconductor Trade Statistics)は2018年6月5日、2018年春季半導体市場予測を発表した。2018年の世界半導体市場は、ドルベースで前年比12.4%の増加と予測する。メモリ市場が高い成長率を持続する。しかも、多くの電子機器向けに半導体需要が拡大する見通しから、2年連続の2桁成長を見込む。
世界の半導体市場は高成長が続く。2017年は前年に比べ21.6%の伸びを示した。この数値は、2017年11月にWSTSが発表した秋季予測の値(20.6%)を上回る伸び率となった。景況感の回復などにより、幅広い電子機器向けに半導体の需要が拡大した。
半導体市場を地域別にみると、2017年は米州の同35.0%増を筆頭に、欧州、日本、アジア太平洋の全地域で2桁の伸び率を達成した。市場規模ではアジア太平洋地域が全体の約60%を占めている。円ベースの日本市場は、同17.0%増で約4兆1041億円となった。
WSTSは2018年もこの傾向が続くと予測する。この結果、2018年の世界半導体市場は4634億米ドルに達する見込みだ。2018年も日本を除き2桁成長を見込んでいる。日本市場は円ベースで同5.0%増、ドルベースで同8.6%増と1桁成長を予測した。
2019年はメモリの伸び率が同3.7%増と一段落する見通しだ。このため、全体では前年比4.4%増の4837億米ドルと予測した。伸長率こそ鈍化するが、プラス成長は続くとみている。
2018年の製品別半導体市場は、IC全体で前年比13.8%増の3905億米ドルと予測した。特にメモリは前年比で26.5%増と高い水準を維持する。ICの中でアナログやマイクロ、ロジックは1桁の伸び率を見込む。この他、ディスクリートは同9.0%増、オプトエレクトロニクスは同3.4%増、センサーは同5.9%増と予測した。
WSTSは、半導体市場に関する世界的統計機関で、現在は世界の主要な半導体メーカー43社が加盟している。今回は、2018年3月までの実績値と加盟各社が予測したデータを基に、マクロ経済や主要電子機器の動向なども参考にしながら、2019年までの予測をまとめた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2017年の半導体市場、4000億ドル超で過去最高か
WSTS(世界半導体市場統計)によると、2017年の半導体市場は4090億米ドルに達する見込みだという。過去最高を記録した2016年に比べて20.6%増と大幅な成長となる。 - サーバ、スマホ、そしてIoTで高成長を維持! 電機/半導体業界2018年展望
新連載「大山聡の業界スコープ」。第1回は2018年のエレクトロニクス/半導体業界を占う。 - 車載半導体市場の現状と今後のゆくえ
車載半導体市場の現状を踏まえながら、今後、車載半導体市場がどのように変わろうとしているのかについて展望していく。 - パワー半導体市場、2030年に4兆6000億円台へ
富士経済は、2030年までのパワー半導体市場を予測した。SiC(炭化ケイ素)/GaN(窒化ガリウム)パワー半導体は、情報通信機器分野を中心に引き続き需要が拡大する。これに加え今後は、エネルギー分野や自動車・電装システム分野での伸びが期待される。 - 期待の2020年へ、2018年は準備の年 ――座談会編2
IHS Markit Technologyのアナリスト5人が2018年の半導体市況と半導体のアプリケーション市場の展望を語る。 - NVIDIA、2017年の半導体売上高でトップ10に
2017年の半導体売上高ランキングトップ10にNVIDIAが初めてランクインした。また、2017年の世界半導体売上高は前年比21.7%増となる4291億米ドルで、メモリチップが前年比60.8%増となる当たり年であったことが大きい。