Keysightが「USB計測器」に本格参入:性能は妥協せず
Keysight Technologies(日本法人:キーサイト・テクノロジー)は2018年6月18日、PCとUSBを介して接続し使用する計測器(USB計測器)を製品化し、USB計測器市場に本格参入すると発表した。ベクトルネットワークアナライザー(VNA)、オシロスコープ、IQ信号任意波形発生器を製品化し、「Streamlineシリーズ」として展開する。
Keysight Technologies(日本法人:キーサイト・テクノロジー)は2018年6月18日、PCとUSBを介して接続し使用する計測器(USB計測器)を製品化し、USB計測器市場に本格参入すると発表した。ベクトルネットワークアナライザー(VNA)、オシロスコープ、IQ信号任意波形発生器を製品化し、「Streamlineシリーズ」として展開する。
「妥協のない高性能をUSB計測器で実現した」と日本法人でマーケティングを担当する山口勲氏は、Streamlineシリーズの開発コンセプトを説明する。
PCでの制御を前提にしたUSB計測器は、一般的なベンチトップ型計測器と異なり、ディスプレイなどのユーザーインタフェース(UI)がないため、小さくて可搬性に優れ、使用する場所などを選ばない。また、価格もベンチトップ型計測器よりも低く抑えていることがほとんどであり、「小型」「低価格」という点で普及が進みつつある。ただ、性能面はベンチトップ型計測器に劣るケースが多いのも事実だ。
そうした中で、Keysightは、これまでUSB計測器を廉価帯でごく一部しか展開してこなかったが「USB計測器へのニーズ高まりを受けて、USB計測器への本格参入を決めた。ただ、USB計測器といっても、Keysightらしくベンチトップ型計測器と遜色ない高い性能を持つ製品に仕上げた」(山口氏)と語る。
同等性能で割安に
例えば、USB計測器Streamlineシリーズの第1弾製品の1つである2ポートVNA「P937xA」は、最大周波数4.5GHzから最大周波数26.5GHzまでの幅広いラインアップをそろえ、ベンチトップ型のエントリークラスVNA「E5063A ENA」に相当する性能を備える。
一方で、P937xAの周波数300k〜4.5GHz品(P9370A)の価格は112万9637円(税別)となっており、E5063A ENAの2ポート、4.5GHz品(約170万円)よりも3割以上、割安な価格設定となっている。
また、P937xAは2台を連結して、多ポートデバイスや差動デバイスの解析に適した4ポートVNAとして動作させることもできる。
ゾーントリガー機能も対応
Streamlineシリーズのオシロスコープ「P924xA」は、ベンチトップ型オシロスコープ「InfiniiVision 3000T X-シリーズ」とほぼ同等の機能、性能を備える。入力チャンネル数は2チャンネルで、サンプリング速度は5Gサンプル/秒。周波数帯域幅200MHz品、500MHz品、1GHz品の3種がある。
InfiniiVision 3000T X-シリーズは、オシロスコープの他、20MHz任意波形発生器、周波数応答アナライザー、8桁カウンター、3桁電圧計、プロトコルアナライザーという6つの計測器の機能を実現する「6 in 1 オシロスコープ」という特長を持つが、P924xAも同様の機能を備える。またタッチパネルを搭載したInfiniiVision 3000T X-シリーズで「特に好評な機能」(山口氏)というタッチ操作で波形を囲うだけでトリガーを設定できるゾーントリガー機能についても、P924xAをタッチパネル搭載PCに接続した場合、使用できるようになっている。
Streamlineシリーズ用のPCソフトウェアは無償で提供され、Keysight製ベンチトップ計測器の同じUIデザインを踏襲し、ベンチトップ型計測器と同様の使い勝手で利用できる。
Streamlineシリーズは、P937xA、P924xAの他に、IQ帯域で1GHz超のベースバンド信号生成が行えるIQ信号任意波形発生器「P9336A」もラインアップする。16ビット分解能で帯域幅が最大540MHz、最大4Gバイトのオンボードメモリを内蔵し、無線機器の広帯域信号を用いた送受信試験などの用途に向ける。
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