IoT機器の固体認証向け新PUF技術、東芝が開発:発振回路の初期出力波形を採用
東芝は、IoT(モノのインターネット)機器の固体認証を行うための物理複製困難関数(PUF:Physically Unclonable Function)技術を開発。自走ロボットに搭載し、機器間の相互認証が可能であることを確認した。
FPGAに実装可能、回路の対称性など制約なし
東芝は2018年6月、IoT(モノのインターネット)機器の固体認証を行うための物理複製困難関数(Physically Unclonable Function:PUF)技術を開発したと発表した。開発した技術を自走ロボットに搭載し、機器間の相互認証が可能であることを確認した。
PUFは、半導体チップの物理的な個体差(ばらつき)をチップ指数(ID)として利用する。複製が困難なため、安全性が高く低コストで実現できるセキュリティ技術である。一方で、回路の配線を対称に配置する必要があるなど設計上の制約もあり、実装面では課題もあった。
東芝が開発したPUF技術は、発振回路の初期出力波形をIDとして用いる。この技術は従来方式のような回路の対称性といった制約がないという。このため、FPGAなど書き換え可能な回路にも容易に実装することが可能となった。また、IDを発生させるため、回路に電流を流し続ける必要もなく、消費電力を節減できるという。
東芝は、開発したPUF技術を自走ロボットに搭載し、相互認証を行った。実証実験ではPUFを実装したFPGAを、自走ロボットの親機と子機にそれぞれ搭載した。子機は親機からの信号発信命令に基づきIDを発信する。親機に子機のIDが事前登録されていれば認証され、親機のLEDが点灯する仕組みである。実証実験では、機器間の相互認証が可能なことを確認したという。
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